パナソニック創業者、松下幸之助氏が残した「利は元にあり」という言葉には深い意味があります。これは、利益は仕入れ値に大きく依存するということを意味します。仕入れ値が安ければ安いほど、利益を出しやすくなります。
しかし、利益を追求する過程で、私自身が苦い経験をしたことがあります。カジュアルブームの際、綿混ストレッチパンツを中国で大量生産しようと試みましたが、品質の問題で断念しました。その後、日本の生地を使って加工貿易に成功し、一時は大成功を収めました。しかし、その成功は短命で、相手方の大損により、長期的な取引が断たれる結果となりました。
この経験から、仕入れ先との健全な関係を保つことの重要性を学びました。値段だけを重視すると、最初はうまくいくかもしれませんが、やがては相手に見放され、持続可能なビジネスは築けません。信頼関係を築き、共存共栄を目指すべきです。
また、適正価格を見極めることも重要です。九州の問屋での経験から、常に高めの価格を提示するようになりました。これにより、値切りを試みる客とも公正な取引が可能となります。
「利は元にあり」は、単に安く仕入れることだけを意味しません。それは、仕入れ先を大切にし、企画、生産、販売、集金を含むビジネスの全過程での総合力を鍛えることを教えています。これらの力を合わせて初めて、真の利益を生み出すことができるのです。