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雑感

信頼関係の構築

4日投開票の東京都議選は自民党が改選前の25議席を上回る33議席を獲得して第一党となりましたが、選挙協力した公明党の28議席を合わせても過半数に及ばず、自民、公明合わせて過半数の目標は大きく下回りました。
敗因は政府のコロナウイルスへの対応と、開幕が間近に迫った東京五輪開催への忌避感だと新聞の社説に書いてありました。
SUPER SLOWとも言えるワクチン接種の遅れ、緊急事態宣言は延期や再発令を繰り返し、
支援金の遅れ、酒が飲めたり飲めなかったりの連続に多くの人が嫌気がさしています。
加えて、麻生財務相が過労の為に静養している小池都知事について「自分で蒔いた種でしょうが」発言。
病床でこの麻生発言を聞いた小池都知事はニヤリとしたのではないでしょうか?
以前、「排除」発言以来、マスコミから「緑のタヌキ」と叩かれた経験のある小池都知事です。
小池都知事は病床にある自分に対し“自業自得”発言は都民ファーストに有利な発言だと思ったはずです。

日本人の感情に「判官びいき」というのがあります。
弱い人を応援したいという感情です。
コロナと東京五輪の対応で過労の為に倒れた小池知事がかわいそうだとの感情です。

「純粋で清い、ひたむきへの憧れ、傲慢さや卑怯への嫌悪感」
というのが日本人の感情にあると思うのです。私達のビジネスでも
この感情を無視することは出来ません。

私の元部下で現在、T社の課長として注目されているT君がいます。
私が課長の時の三人の主力営業の一人です。
三人とも会社全体でもトップクラスの営業でした。

一人は要領が良くテキパキと事務処理をし、スピード感のある営業、
頭の回転も速く、私が叱ることは殆ど無い営業でしたが、唯一、社内の人間関係
が淡泊なのが気になっていました。

もう一人は要領は良いが誤魔化し癖のある営業。
企画提案には定評があり、勘は鋭いものがあるが、何故かつまらない嘘をついてしまう。
私は何度となく厳しく注意をしておりました。
しかし、特定のお客さんには、ごまかし癖も含めて可愛がられる不思議なキャラクターでした。

T君の場合、要領は決して良くないが、誠実な対応で定評のある営業で、卑怯や傲慢を嫌う正義感の強い営業でした。コツコツとした地道な営業で信頼を掴むタイプで
仕入先、得意先とも彼のファンは多く、私が羨むほどでした。

私が退社した後、三人とも課長を経験しましたが、二人は結果が残せず
関連会社に出向し、T君は優秀な課長としてT社で活躍しています。
部下も上司も得意先もT君の「純粋でひたむきな姿勢、上司であろうとも誤魔化しを
許さない正義感」に共感を覚え、協力を惜しまないのだといます。

その場しのぎの戦略や謀略は一時的に成功しても長続きしません。
やはり、「約束を守る、守れなかったら事前に連絡して詫び、次の約束をする」
そういう態度が大事です。
社内外とも信頼関係の構築が最重要ですが、その構築に妙手、奇手はありません。
毎日の目の前の仕事を誠心誠意やる。その積み重ねの向こうに信頼関係の構築があるのだと
思います。

「自公で過半数を実現出来なかった事は謙虚に受け止めたい」と首相は記者団に都議選の結果について語りました。
選挙が終わる度に「謙虚」を口にします。
「傲慢」な発言が信頼関係を崩壊させることを恐れるからだと思います。

口先だけでは誰も信用しません。行動がともなってこそ信用に繋がります。
信用されていると思い、謙虚さを忘れると嫌われることになります。

誠心誠意、約束を守り機敏に行動する。成功しても常に謙虚に、反省を忘れない。
政治家にとってもビジネスマンにとっても「信頼関係の構築」に大事な共通点だと思いました。