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実践ガイド 全6回・第6回(最終回) / インドで生地を売る

実践ガイド 全6回・第6回(最終回) / インドで生地を売る

取引形態と物流——FOB/CIF/DDPをどう選ぶか

— 生地はコンテナで動く。ICCが「コンテナ貨物にFOBを使うな」という理由、インド側の課税価格への影響、そして初回出荷で確認すべき書類 —

国際商業会議所(ICC)インコタームズ2020および ICC Academy 解説・日本貿易振興機構(ジェトロ)「インコタームズ2020」貿易・投資相談Q&A および「輸出入手続|インド」・インド関税評価規則(Customs Valuation Rules, 2007)第10条第2項・インド財務省 Notification No.91/2017-Customs(N.T.) および Circular No.39/2017-Customs・インド関税法(Customs Act, 1962)第46条・CAROTAR 2020(Notification No.81/2020-Customs(N.T.))・インド最高裁 Union of India v. Mohit Minerals(2022年5月19日)ほか各機関の公表資料をもとに編集。本稿は確認済みの一次資料および公表解説のみを掲載し、運賃・リードタイム・港湾費用など変動する実務数値は「実見積もりで置き換えるべき参考値」として明示している。確認できなかった項目は「未確認」と記載している。

シリーズ最終回です。第1回(買い手地図)で誰に売るかを、第2回(上陸コスト)でいくらになるかを、第3回(規制の関門)で法的に入るかを、第4回(展示会・商談)で売り方を、第5回(契約・決済)で代金の回収を確認してきました。

残るは「モノをどう届けるか」です。ここで決めるのが取引形態(インコタームズ)——FOBなのかCIFなのかDDPなのか。見積書の1行にすぎませんが、この1行が、どこまでの費用を誰が払い、どの瞬間に事故の責任が移り、インド側の税額がどう変わり、貨物が着いてから何日で通関を切らねばならないかを、すべて決めます。

一言でまとめると:インコタームズ2020は11規則で、「あらゆる運送手段に適した7規則(EXW・FCA・CPT・CIP・DAP・DPU・DDP)」と「海上・内陸水路専用の4規則(FAS・FOB・CFR・CIF)」に分かれる。生地はほぼ必ずコンテナで運ばれるが、ICCはコンテナ貨物にFOB・CFR・CIFを使うことを推奨していない——危険移転が「本船積込時」なのに、実際にはその数日前にターミナルで運送人へ引き渡しているためで、技術的に正しいのはFCA・CPT・CIPである。インコタームズ2020はFCAでも「積込済み(on board)の付記がある船荷証券」を取得できる仕組みを新設し、第5回のL/C決済と両立させた。保険はCIFがICC(C)(最低補償)、CIPがICC(A)(オールリスク)で水準が違い、付保額はいずれもCIF価額の110%が基準。インド側の課税価格(AV)は、合意した取引条件にかかわらずCIFベースで組み立てられるため、条件の選択そのものは税額を変えない。ただし運賃・保険料の実額を立証できない場合、インド関税評価規則第10条第2項の但書により運賃はFOBの20%、保険料はFOBの1.125%が擬制的に加算される——本稿の試算では戻らない税負担が1mあたり約22ルピー(約15%)増える。なお「上陸諸掛1%」の擬制加算は、最高裁Wipro判決を受けて2017年9月26日付Notification No.91/2017-Cus(N.T.)により廃止済みである(第2回の計算の注記を参照)。DDPは初回で受けてはいけない——売り手がインドの輸入者になることを意味し、IEC取得にはインドのPAN・現地銀行口座・有効な住所・電子署名証明書が必要で、しかもGST登録がなければ輸入時に払ったIGSTの仕入税額控除が取れず、5%がまるごとコストになる。

✏️ 編集後記
本稿は全6回シリーズ「インドで生地を売る」の最終回。取引条件と物流は「フォワーダーに任せる話」と思われがちだが、危険移転点・保険水準・課税価格の組み立て・通関の期限は、いずれも売り手が見積書の段階で選んでいる。本稿は、その選択が制度上どう効くかを一次資料で確認した。一方、運賃相場・航路別リードタイム・港湾のフリータイム日数・デマレージ料率については、公的機関が公表する確定値を確認できなかったため、物流事業者の公表値・業界解説の範囲として明示し、「実見積もりで置き換えるべき参考値」として扱っている。あわせて、第2回で用いた「上陸諸掛1%」は現行制度では廃止済みであることが確認できたため、本稿④で訂正した。

この記事の内容

① 先に答え——初回はCIF(またはCIP)、DDPは受けない

② インコタームズ2020——11規則の全体像

③ 生地はコンテナで動く——ICCが「FOBを使うな」という理由

④ 条件の違いはインド側の税額に響くか——課税価格(AV)の作られ方

⑤ 保険——CIFはICC(C)止まり、CIPはICC(A)。付保額はCIF×110%

⑥ DDPを受けてはいけない制度上の理由

⑦ 航路とリードタイム、そして「着いてから」の時計

⑧ 初回出荷の書類——買い手のIECは生きているか

⑨ 出荷前チェックリスト——8問で確認する

⑩ 留意点・前提条件

① 先に答え——初回はCIF(またはCIP)、DDPは受けない

— 「買い手が楽な条件」と「売り手が負えるリスク」は一致しない —

結論から書きます。初回取引の見積書に書くべきは、CIF(またはコンテナ輸送に技術的に正しいCIP)です。理由は3つあります。

条件売り手がやること危険移転初回取引での評価
EXW
工場渡し
工場で引き渡すだけ自社工場売り手は楽だが、輸出通関の名義や書類の手当てで揉めやすい。相手が日本での輸送手配に慣れている前提が要る
FOB
本船渡し
輸出通関+本船積込みまで本船積込時最も一般的だが、コンテナ貨物にはICCが推奨していない(③参照)
CIF
運賃保険料込み
上記+インド港までの運賃・保険本船積込時◎ 推奨。買い手に「インドの港までいくら」を示せる。保険はICC(C)止まりに注意(⑤)
CIP
輸送費保険料込み
合意した仕向地までの輸送費・保険運送人への引渡時◎ コンテナ輸送に技術的に正しい。保険はICC(A)が義務(⑤)
DAP/DPU
仕向地持込渡し
インド国内の指定場所まで届ける(輸入通関は買い手)指定仕向地「工場まで届けてほしい」に応える中間解。輸入通関・関税は買い手のままなのが要点
DDP
関税込持込渡し
上記+インドでの輸入通関と関税・IGSTの負担指定仕向地× 初回では受けない(⑥参照)

3つの理由:①価格が伝わる——買い手はCIF価格から自分の上陸コストを計算できる(第2回の計算式がそのまま使える)。②保険を自社でかけられる——事故が起きたときの保険金請求を売り手側でコントロールできる。③インドの税務・通関に立ち入らない——輸入者はあくまで買い手であり、売り手はインドの納税義務者にならない。

出典:国際商業会議所(ICC)インコタームズ2020/ジェトロ「インコタームズ2020」貿易・投資相談Q&A。※各規則の義務の詳細は、ICC刊行の規則本文(A1〜A10・B1〜B10)が正文です。

② インコタームズ2020——11規則の全体像

— 「2つのグループに分かれている」ことだけ先に覚える —

インコタームズは国際商業会議所(ICC)が定める貿易条件の解釈規則で、現行版はインコタームズ2020です。ジェトロは、インコタームズが「売主・買主間の物品の引き渡しに関する危険の移転の分岐点、役割や費用(運送の手配と運賃の支払い、保険の手配と保険料の支払い、通関手続きと費用)の負担区分」を定めるものであり、規則ごとに「A1〜A10に売主の義務を、B1〜B10に買主の義務を規定」していると説明しています。

グループ1|いかなる運送手段にも適した規則(7)

EXW(工場渡し)/FCA(運送人渡し)/CPT(輸送費込み)/CIP(輸送費保険料込み)/DAP(仕向地持込渡し)/DPU(荷卸込持込渡し)/DDP(関税込持込渡し)

コンテナ・航空・複合一貫輸送はこちら。生地の輸送はほぼここに該当します。

グループ2|海上・内陸水路運送のための規則(4)

FAS(船側渡し)/FOB(本船渡し)/CFR(運賃込み)/CIF(運賃保険料込み)

本来はばら積み・在来船を想定した規則。危険移転はいずれも本船積込時です。

🔎 2010年版からの主な変更点(ジェトロの整理)

① DATが廃止され、DPU(Delivered at Place Unloaded=荷卸込持込渡し)が新設されました。

② 「積込済みの付記のある船荷証券」とFCA規則——FCAで取引しても、当事者が合意すれば、買主が運送人に指図してon board(積込済み)の付記がある船荷証券を売主に発行させる仕組みが規定されました。第5回で扱ったL/C決済では船積書類の要件が厳格ですが、この仕組みにより、FCAでもL/C決済と両立できるようになっています。

③ CIFとCIPで保険の補償範囲に差がつきました(⑤で詳述)。

出典:ジェトロ「インコタームズ2020」貿易・投資相談Q&A(J-200309)/国際商業会議所(ICC)インコタームズ2020。

③ 生地はコンテナで動く——ICCが「FOBを使うな」という理由

— 「慣習だから」で選ぶと、事故のときに保険が噛み合わない —

日本の輸出実務では、コンテナ貨物でも当たり前のようにFOB・CFR・CIFが使われています。しかしICCは、コンテナ貨物についてFOB・CFR・CIFを使わないよう明確に注意喚起しており、代わりに同じ費用負担構造をもつFCA・CPT・CIPを使うよう推奨しています。

⚠️ なぜ問題なのか——危険移転点と現実がずれる

FOB・CFR・CIFでは、危険(滅失・損傷のリスク)は「物品が本船に積み込まれた時」に売主から買主へ移転します。ところがコンテナ貨物の実務では、売主は本船積込みの数日前に、コンテナヤードやCFS(混載倉庫)で運送人に貨物を引き渡しています。

つまり「引き渡したが、まだ危険は移転していない」空白期間が生まれます。この期間にヤードで火災・盗難・荷崩れ・水濡れが起きた場合、物理的な支配は運送人にあるのに、契約上の危険は売主が負っている——という状態になります。

LCL(コンテナ混載)で反物を数本だけ送る初回サンプル出荷は、まさにこの形です。第2回で触れたとおり小ロットLCLは運賃比率が跳ね上がりますが、リスク面でもFOB系の条件と相性が良くありません。

やりたいこと慣習的に使われる条件ICC推奨(コンテナ)違い
運賃は買い手負担にしたいFOBFCA危険移転が本船積込時→運送人への引渡時に前倒しされる
運賃は売り手負担、保険は買い手CFRCPT同上。仕向地も「港」ではなく「合意した地点」で指定できる
運賃も保険も売り手負担CIFCIP同上+保険がICC(C)からICC(A)に上がる(⑤)

💡 現実的な落としどころ

とはいえ、インドの買い手も日本のフォワーダーも「FOB」「CIF」で会話する慣習があり、見積書にいきなりCIPと書くと話が止まることがあります。実務的な選択肢は次の2つです。

案A:CIFで見積もりつつ、保険をICC(A)相当に上乗せする。条件名は慣習どおり、補償だけ実質的に厚くする方法です(⑤参照)。買い手との会話が最も滑らかです。

案B:CIPで見積もり、「ICCがコンテナ貨物に推奨している条件です」と説明する。危険移転点まで正しく揃います。L/C決済でもインコタームズ2020の「積込済み付記のあるB/L」の仕組みで対応できます(②)。

出典:ICC Academy「Incoterms® 2020: FCA or FOB?」ほかICCの解説。コンテナ貨物にFOB・CFR・CIFを用いることへの注意喚起、およびFCA・CPT・CIPの推奨は、ICCおよび複数の物流事業者の公表解説で確認できる。各規則の義務内容の正文はICC刊行のインコタームズ2020規則本文です。

④ 条件の違いはインド側の税額に響くか——課税価格(AV)の作られ方

— 答え:条件そのものは響かない。響くのは「運賃を立証できるかどうか」 —

よくある誤解に、「FOBで売れば買い手の関税が安くなる」というものがあります。これは正しくありません。インドの課税価格(Assessable Value)は、合意した取引条件が何であれ、CIFベース——すなわち「取引価格+輸入地までの運賃+保険料」——で組み立てられるからです。FOBで売れば、買い手が支払った運賃・保険料が加算されるだけで、着地は同じです。

📌 第2回の計算式の訂正——「上陸諸掛1%」は廃止されています

第2回では課税価格を「CIF+上陸諸掛1%」として計算しました。これは長く用いられてきた擬制加算ですが、インド最高裁のWipro判決(2015年)を受け、2017年9月26日付 Notification No.91/2017-Customs(N.T.) により、輸入地における荷役・荷卸費用の1%擬制加算は廃止されました(Circular No.39/2017-Customs で周知)。現行制度では課税価格=CIF価額となります。

第2回の試算は課税価格が約1%高めに出ていることになります。本稿では現行制度に基づき、1%加算なしで計算します。

問題は、運賃・保険料の実額を立証できない場合です。インド関税評価規則(Customs Valuation (Determination of Value of Imported Goods) Rules, 2007)第10条第2項の但書は、次のように定めています。

■ 輸送費が確認できない場合 → FOB価額の20% を運賃として加算する

■ 保険料が確認できない場合 → FOB価額の1.125% を保険料として加算する

※航空輸送の場合、運賃が確認できるときでも加算額はFOB価額の20%を上限とする旨の規定があります(サンプルを航空便で送る場合、運賃が商品代を超えても加算は20%で頭打ちになります)。

この差がどれほどのものか、第2回と同じ前提(EXW 1,000円/m、FOB日本港 1,030円/m=618ルピー/m、実際の運賃・保険はFOBの5%)で計算します。

項目A:実額を立証できる場合B:立証できない場合(但書適用)
FOB価額618.0ルピー/m618.0ルピー/m
+ 運賃+25.9
実額(FOBの約4.2%)
+123.6
FOBの20%
+ 保険料+5.0
実額
+7.0
FOBの1.125%
課税価格(AV)648.9ルピー/m748.6ルピー/m
基本関税 BCD(20%)129.8149.7
社会福祉課徴金 SWS(BCDの10%)13.015.0
IGST(5%)※控除可39.645.7
戻らない税負担(BCD+SWS)142.8ルピー/m164.7ルピー/m

立証できない場合の
追加負担(戻らない税)

+21.9ルピー/m

=約15%増

10,000m の初回オーダーなら

約21.9万ルピー

≒約36.5万円の余計な負担

売り手ができる対策

運賃・保険料を
別建てで明記

インボイスとB/Lで一致させる

✅ 売り手の実務対応——インボイスの書き方ひとつで防げる

CIF建てで見積もる場合でも、コマーシャルインボイスに「FOB価額」「Ocean Freight」「Insurance Premium」を金額で分けて記載してください。買い手はその数字をそのままBill of Entryに申告できます。「CIF総額いくら」とだけ書かれたインボイスは、買い手がインド税関に運賃の内訳を示せず、擬制加算のリスクを招きます。

なお、運賃に対するIGSTの二重課税については、インド最高裁が2022年5月19日の Union of India v. Mohit Minerals 判決で、CIF輸入における海上運賃へのリバースチャージ課税を違憲・無効と判断しました(運賃はすでにCIF価額の一部として課税されており、二重課税にあたるため)。FOB輸入についても同旨の高裁判断が出ています——つまり、運賃部分の税負担は取引条件によって変わらない、というのが現在の到達点です。

出典:インド関税評価規則(Customs Valuation (Determination of Value of Imported Goods) Rules, 2007)第10条第2項および但書/インド財務省 Notification No.91/2017-Customs(N.T.)(2017年9月26日)およびCircular No.39/2017-Customs/インド最高裁 M/s Wipro Ltd. v. Assistant Collector of Customs(2015年)/インド最高裁 Union of India v. Mohit Minerals Pvt. Ltd.(Civil Appeal Nos.1390 & 1394 of 2022、2022年5月19日)。関税率20%・IGST 5%の前提は第2回に同じ。為替は1米ドル=159円=95.4ルピー。運賃・保険料の実額(FOBの5%)は第2回からの継続仮定値であり、実見積もりで置き換えてください。

⑤ 保険——CIFはICC(C)止まり、CIPはICC(A)。付保額はCIF×110%

— 「保険付き」と書いてあっても、補償範囲はまったく違う —

インコタームズ2020の重要な変更のひとつが、CIFとCIPで求められる保険の水準に差がついたことです。

条件売主が付保すべき水準補償の性格
CIFICC(C)最低限の補償。沈没・座礁・衝突・火災など列挙された事故に限定される
CIPICC(A)オールリスク型。免責事由を除く偶発的な損害を広くカバーする

⚠️ 生地にとってICC(C)は薄すぎる

生地で実際に起きる事故は、コンテナ内の結露による水濡れ・カビ、荷役中の破損、汚損、一部盗難といった類型です。これらはICC(C)の列挙事故には基本的に含まれません。「CIFだから保険は付いている」という説明は、事故が起きてから意味を失います。

CIF建てで見積もる場合でも、実際に手配する保険はICC(A)相当にしてください。インコタームズはあくまで最低水準を定めるもので、当事者の合意でそれ以上を付保することは自由です。契約書・インボイスに「Insurance: ICC(A) with War & SRCC」等と明記しておけば、条件名の慣習と実質的な補償を両立できます。

🔢 付保金額は「CIF価額 × 110%」が基準

貨物海上保険の保険金額は、CIF価額(またはインボイス金額)の110%とするのが国際的な商慣行であり、インコタームズもこの水準を定めています。上乗せの10%は、事故がなければ得られたはずの希望利益を見込んだものです。

第2回の例(CIF $6.80/m)で10,000mなら、CIF価額 $68,000 に対し付保金額は $74,800となります。

出典:国際商業会議所(ICC)インコタームズ2020(CIF規則A5・CIP規則A5)/ロンドン保険業者協会 協会貨物約款 Institute Cargo Clauses (A)(B)(C)/ジェトロ 貿易・投資相談Q&A(貨物海上保険関連)。実際の付保内容・料率・免責事項は保険会社の約款が正文です。個別の手配は保険会社・フォワーダーにご確認ください。

⑥ DDPを受けてはいけない制度上の理由

— 「関税込みで届けてほしい」は、「インドの輸入者になってほしい」という意味 —

第2回でも触れましたが、インドの買い手から「DDPで出してほしい」と言われることは珍しくありません。買い手にとっては、価格が確定し、通関の手間もなく、資金負担も後ろ倒しになる——最も楽な条件だからです。しかし売り手にとっての意味は重大です。

DDPを引き受けると、売り手は次の3つを同時に背負います

① インドでの輸入通関の名義人(輸入者)になる。ジェトロによれば、インドでの輸出入業務には特別な免除がない限りIEC(輸出入業者コード)の取得が必須で、申請にはPAN(インドの10桁の納税者番号)・企業名義のインドの銀行口座・有効な住所・電子署名証明書(DSC)が必要です。インドに拠点のない日本の売り手が単独で満たすのは容易ではありません。

② BCD・SWS・IGSTの納税義務者になる。第2回の試算では、合繊織物でBCD 20%+SWS+IGST 5%。売り手がこれを立て替え、価格に織り込むことになります。

③ IGSTの仕入税額控除を取れない可能性が高い。ここが見落とされがちです。IGSTは本来「買い手が控除できる税」ですが、控除できるのはGST登録をしている事業者です。インドでGST登録をしていない日本の売り手が輸入者になると、IGST 5%は控除できないまま丸ごとコストになります。CIFで売って買い手が輸入者になっていれば、買い手が控除できたはずの税です。

💡 「工場まで届けてほしい」への回答は DAP/DPU

買い手の要望が「港止めではなく工場まで届けてほしい」という物流上のものであれば、DAP(仕向地持込渡し)またはDPU(荷卸込持込渡し)が答えになります。この2つはインド国内の指定場所まで売り手が運ぶ一方、輸入通関と関税・IGSTの負担は買い手のままです。⑥①〜③の問題は生じません。

要望が「税込みの確定価格にしてほしい」という価格上のものであれば、CIF価格+第2回の計算式で買い手の手元原価を提示するのが正解です。第2回で述べたとおり、「御社の手元では約〇〇ルピー/mになる計算です」と言えることが、DDPを引き受けずに同じ安心感を与える方法です。

なお、インドにはIOR(Importer of Record)サービス——現地事業者が輸入者名義を引き受ける商業サービス——が存在し、DDPを成立させる手段として案内されています。ただしこれらは民間事業者の提供するサービスであり、公的機関が要件や適法性を包括的に示した資料は確認できませんでした。利用を検討する場合は、必ず個別に法務・税務の確認を行ってください。

出典:ジェトロ「輸出入手続|インド」(最終更新2025年10月1日)——IECの取得要件・必要書類/国際商業会議所(ICC)インコタームズ2020(DDP・DAP・DPU規則)/税率の前提は第2回に同じ。「日本法人がインドの輸入者名義人になれるか」「その場合のGST登録・仕入税額控除の可否」については、公的機関の一次資料で確認できませんでした(未確認)。実行にあたっては必ず現地の税務・法務専門家にご確認ください。

⑦ 航路とリードタイム、そして「着いてから」の時計

— 揉めるのは「船に乗るまで」より「着いてから」 —

日本からインド西岸(ナヴァ・シェヴァ=JNPA、ムンドラ)および東岸(チェンナイ)への海上輸送は、多くがシンガポール・ポートケラン・コロンボ等での積み替え(トランシップメント)を伴い、物流事業者の公表値ではおおむね20〜30日程度とされています。近年は積み替えを減らしたダイレクト混載サービスも案内されており、従来ルート比で最大16日短縮とする事業者の告知もあります。

⚠️ リードタイムは「参考値」として扱ってください

上記は物流事業者の公表値であり、公的機関が確定値として公表しているものではありません。本船スケジュール・積み替え港の混雑・スペースの需給によって大きく変動します。納期を契約に書く前に、必ず自社のフォワーダーから航路別の実所要日数を取ってください。第1回の産地地図で狙う都市(スーラト/ティルプール/ルディアナ等)が決まっていれば、そこに最も近い港からの見積もりが取れます。

そして、売り手が見落としやすいのが「着いてから」の時計です。ここが遅れると、貨物は港に留め置かれ、追加費用は日ごとに膨らみます。

時計期限遅れるとどうなるか根拠
Bill of Entry
(輸入申告)の提出
本船到着日の前日の終わりまで(休日を含む)。到着予定の30日前から事前提出(アドバンスBoE)が可能遅延に正当な理由がないと判断された場合、最初の3日は1日あたり5,000ルピー、以降は1日あたり10,000ルピーの遅延提示手数料インド関税法
第46条
フリータイム
(無料保管期間)
船社・ターミナルによりおおむね3〜7日(契約により異なる)超過分はデマレージ(港・CFS内での超過保管)とディテンション(空コンテナ返却遅延)が別建てで課金される船社・港湾の
個別契約
(公的確定値なし)
L/Cの書類呈示船積後21日以内かつL/C有効期限内呈示期限を過ぎればディスクレとなり、発行銀行の支払確約が働かないUCP600
(第5回)

✅ 売り手にできる3つのこと

① 船積み後すぐに書類のコピーを買い手へ送る。アドバンスBoEは到着30日前から提出できます。B/L・インボイス・パッキングリストのPDFを即日送れば、買い手は本船到着前に申告を済ませられます。原本の郵送を待たせないことが、デマレージを防ぐ最短の手です。

② 原本の扱いを契約で決めておく。前払い送金であればサレンダーB/L(元地回収)やテレックスリリースで原本郵送を省けます。L/C決済ならこれは使えません——銀行に原本を呈示する必要があるためです(第5回)。決済条件と書類の流し方はセットで設計してください。

③ 到着予定を早めに通知する。ETA(本船入港予定日)が変わったら都度連絡する——それだけで買い手の通関準備は大きく変わります。

出典:インド関税法(The Customs Act, 1962)第46条(Bill of Entryの提出期限)およびBill of Entry関連規則における遅延提示手数料(初日から3日目まで1日5,000ルピー、以降1日10,000ルピー)/UCP600(第5回参照)。リードタイム・フリータイム日数・デマレージ料率は物流事業者および業界解説の公表値であり、公的機関が定めた確定値ではありません(未確認)。必ず自社のフォワーダー・船社にご確認ください。

⑧ 初回出荷の書類——買い手のIECは生きているか

— 揃えるだけでは足りない。相手の資格が有効かどうかまで確認する —

ジェトロは、インドの輸出入に必要な書類として次を挙げています。

📄 基本の5点(ジェトロ「輸出入手続|インド」)

① インボイス(商用)——④のとおり、FOB価額・運賃・保険料を分けて記載する

② 税関申告書(Bill of Entry。買い手が提出)

③ パッキングリスト(インボイスと併せることも可能)

④ 船荷証券(B/L)

⑤ 航空貨物運送状(AWB)(航空便の場合)

※ジェトロは、インボイスとパッキングリストは輸出者のサイン入り原本、コピーの場合は輸入者の押印・サインが必要としています。また管轄税関により必要書類が異なる場合があるため、事前確認を推奨しています。

これに加えて、シリーズで扱ってきた3点が乗ります。

追加で必要になるもの誰が用意するか参照
特定原産地証明書(IJCEPAの特恵税率を使う場合)売り手が日本商工会議所で取得第2回
BIS認証(FMCS)の証跡(QCO対象品の場合)売り手(外国製造者としての認証)第3回
アゾ染料に関する船積前証明(該当する場合)売り手(日本は免除国リストに掲載)第3回

⚠️ 見落とし①|買い手のIECは「毎年更新」しないと失効する

ジェトロは、IECについて毎年4月〜6月に詳細確認(更新)が必須であり、「IECが所定の期間内に更新されない場合、IECは無効化される」と記載しています。

つまり、買い手のIECが失効していれば、貨物が港に着いても輸入申告ができません。初回取引の与信確認と同じタイミングで、「御社のIEC番号と、直近の年次更新は完了していますか」と確認しておいてください。ひと言で防げるトラブルです。

⚠️ 見落とし②|原産地証明を出した後、5年間は情報を求められうる(CAROTAR 2020)

IJCEPAの特恵税率を使う場合、インド側にはCAROTAR 2020(Customs (Administration of Rules of Origin under Trade Agreements) Rules, 2020/Notification No.81/2020-Customs(N.T.)、2020年8月21日)という手続規則があります。

これにより、特恵を申請する輸入者は、原産地基準をどう満たしているかを示す情報(Form Iに定める項目)を保有し、その裏付け資料をBill of Entry提出日から5年間保管する義務を負います。そして税関は、輸出国当局に照会する前に、まず輸入者に情報を求める建て付けになっています。

輸入者が持っていない情報は、輸出者である日本側に問い合わせが来ます。特恵を使う取引では、原産地基準の充足根拠(使用原材料・製造工程・関税分類変更や付加価値基準の計算)を社内で5年間たどれる形にしておいてください。照会に答えられないと、買い手の特恵が否認され、遡って関税を追徴されるおそれがあります。

出典:ジェトロ「輸出入手続|インド」国・地域別に見る(最終更新2025年10月1日)/CAROTAR 2020(Notification No.81/2020-Customs(N.T.)、2020年8月21日)およびインド関税法第28DA条/IJCEPA・特定原産地証明書については第2回、QCO・BIS・アゾ染料については第3回を参照。個別品目でどの書類が要求されるかは管轄税関により異なります。必ず買い手の通関業者(CHA)を通じて事前確認してください。

⑨ 出荷前チェックリスト——8問で確認する

— ブッキングを入れる前に、社内で答えを出しておく —

Q1. 取引条件はインコタームズ2020の11規則のどれかを、規則名+指定地+「Incoterms® 2020」の3点セットで契約書・インボイスに書いたか?(例:CIF Nhava Sheva, Incoterms® 2020)

Q2. 貨物はコンテナ輸送か? その場合、FOB/CFR/CIFを使う理由を説明できるか。FCA/CPT/CIPへの切替を検討したか?

Q3. L/C決済の場合、「積込済み(on board)の付記がある船荷証券」を取得できる手配になっているか?(FCA採用時はインコタームズ2020の仕組みを使う)

Q4. コマーシャルインボイスにFOB価額・海上運賃・保険料を金額で分けて記載したか?(擬制加算=運賃20%・保険1.125%を避けるため)

Q5. 付保する保険はICC(A)相当か? 付保金額はCIF価額の110%になっているか? 戦争・ストライキ危険(War & SRCC)は必要か検討したか?

Q6. DDPを求められていないか? 求められている場合、DAP/DPU、またはCIF+手元原価の提示で代替案を出したか?

Q7. 船積み後、即日で書類PDFを買い手に送る段取りができているか?(アドバンスBoEは到着30日前から提出可能)原本の扱い(郵送/サレンダーB/L)は決済条件と整合しているか?

Q8. 買い手のIEC番号と、直近の年次更新(毎年4〜6月)の完了を確認したか? 特恵を使う場合、原産地基準の充足根拠を5年間たどれる形で社内に残したか?

📊 第6回のまとめ——取引形態と物流

📦 インコタームズ2020は11規則・2グループ:あらゆる運送手段に適した7規則(EXW・FCA・CPT・CIP・DAP・DPU・DDP)と、海上・内陸水路専用の4規則(FAS・FOB・CFR・CIF)。2010年版からDATが廃止されDPUが新設された。

🚢 コンテナ貨物にFOB・CFR・CIFは推奨されない:危険移転が「本船積込時」なのに、実際の引渡しはその数日前のターミナル。ICCが推奨するのはFCA・CPT・CIP。インコタームズ2020はFCAでも「積込済み付記のあるB/L」を取得できる仕組みを設け、L/C決済と両立させた。

🧮 課税価格は条件によらずCIFベース:取引条件そのものは税額を変えない。変えるのは運賃・保険料を立証できるかどうか——できない場合、評価規則第10条第2項但書により運賃はFOBの20%、保険料はFOBの1.125%が加算され、本稿試算では戻らない税負担が1mあたり約22ルピー(約15%)増。インボイスで運賃・保険料を別建て表記するだけで防げる。

📌 「上陸諸掛1%」は廃止済み:最高裁Wipro判決(2015年)を受け、Notification No.91/2017-Cus(N.T.)(2017年9月26日)により廃止。現行では課税価格=CIF価額。第2回の試算は約1%高めに出ている。

🛟 保険はCIF=ICC(C)、CIP=ICC(A):生地に多い水濡れ・カビ・汚損・破損はICC(C)では基本的にカバーされない。CIF建てでも実際の付保はICC(A)相当に。付保金額はCIF価額の110%が基準。

🚫 DDPは初回で受けない:インドの輸入者になることを意味し、IECにはPAN・現地銀行口座・有効な住所・DSCが必要。GST登録がなければIGST 5%の仕入税額控除が取れず丸ごとコスト化する。要望が物流ならDAP/DPU、価格なら「CIF+手元原価の提示」で代替する。

⏱️ 着いてからの時計が費用を決める:Bill of Entryは本船到着日の前日の終わりまで(到着30日前から事前提出可)、遅延には1日5,000ルピー(4日目以降10,000ルピー)。フリータイム超過はデマレージ・ディテンション。船積み後即日の書類送付が最も効く対策。そして買い手のIECは毎年4〜6月の更新を怠ると失効する。

⑩ 留意点・前提条件

  • 本稿は通関・税務・法務の助言ではありません:取引条件の選択、課税価格の申告、保険の設計、通関手続きは、フォワーダー・通関業者(CHA)・保険会社・税務専門家にご相談ください。本稿は公表資料から確認できる制度上の事実を整理したものです。
  • インコタームズの正文はICC刊行の規則本文です:本稿は各規則の性格を要約したものであり、A1〜A10・B1〜B10の義務の詳細はICCインコタームズ2020の規則本文が正文です。契約書には規則名・指定地に加え「Incoterms® 2020」の版を必ず明記してください。
  • 第2回の「上陸諸掛1%」について:④で述べたとおり、輸入地での荷役等費用の1%擬制加算はNotification No.91/2017-Customs(N.T.)(2017年9月26日)により廃止されています。第2回の上陸コスト試算は、この分だけ高めに出ています。実務では現行制度(課税価格=CIF価額)でご計算ください。
  • 関税評価規則の運用は個別判断を伴います:運賃・保険料が「確認できる(ascertainable)」といえるかどうかの判断は、提出資料と税関の運用によります。本稿の試算は規則の文言に基づく機械的な当てはめであり、特定の案件での取扱いを保証するものではありません。
  • Mohit Minerals判決の射程:2022年5月19日のインド最高裁判決はCIF輸入における海上運賃へのリバースチャージ課税を対象としたものです。FOB輸入への同旨の判断は高等裁判所レベルのものを確認しました。航空運賃については同判決の射程外です。個別の取扱いは現地税務専門家にご確認ください。
  • 確認できなかった事項(未確認):①日本発インド向けの航路別リードタイムを公的機関が公表した確定値、②インドの港湾・船社のフリータイム日数およびデマレージ・ディテンション料率の公的統一基準、③日本法人がインドの輸入者名義人(Importer of Record)となる場合の適法性・GST登録要件・仕入税額控除の可否、④インド繊維輸入における取引条件(FOB/CIF別)の実際の採用比率——これらについては公的な一次資料を確認できませんでした。本稿では推測での補完を行っていません。
  • 数値の性格:④の試算に用いた運賃・保険料の実額(FOBの5%)は第2回からの継続仮定値です。関税率20%・IGST 5%・為替1米ドル=159円=95.4ルピーの前提も第2回に同じです。実際の見積もりで置き換えてください。
  • 制度は改定されます:本稿の記載は執筆時点(2026年9月)で確認できた各機関の公表資料に基づきます。関税評価規則・遅延提示手数料・IEC手続・CAROTARの運用はいずれも改定されうるものです。

Series Complete — 全6回

「インドで生地を売る」実践ガイド 全6回——買い手を見つけ、価格を出し、規制を越え、商談し、契約し、船に載せるまで

6回を通じて、インドで生地を売るために必要な意思決定を、制度の一次資料に照らして順番に潰してきました。全体を通読すると、「インド市場は難しい」のではなく、「決めるべきことが多い」だけだとわかるはずです。ひとつずつ潰せば、道筋は見えます。

第1回:誰が生地を買っているのか——インド市場の「買い手地図」

第2回:値段の壁を最初に計算する——上陸コスト(landed cost)の作り方

第3回:関税だけではない——「そもそも輸入できない」を防ぐ4つの関門

第4回:展示会・現地商談の進め方——サンプル・価格表・通訳・アポの取り方

第5回:契約・支払い条件・品質クレーム対応——商談成立後に詰めるべきこと

第6回(本稿):取引形態と物流——FOB/CIF/DDPをどう選ぶか

主要引用・参照元一覧

  • 国際商業会議所(International Chamber of Commerce, ICC)「Incoterms® 2020」規則本文(EXW・FCA・CPT・CIP・DAP・DPU・DDP/FAS・FOB・CFR・CIF)
  • ICC Academy「Incoterms® 2020: FCA or FOB?」(コンテナ貨物における危険移転点とFCA推奨の解説)
  • 日本貿易振興機構(ジェトロ)「インコタームズ2020」貿易・投資相談Q&A(J-200309)——11規則の分類、A1〜A10/B1〜B10の構成、DAT廃止・DPU新設、積込済み付記のある船荷証券とFCA規則、CIF/CIPの保険補償範囲の相違
  • ジェトロ「輸出入手続|インド」国・地域別に見る(最終更新2025年10月1日)——必要書類(インボイス・税関申告書・パッキングリスト・船荷証券・航空貨物運送状)、IECの取得要件(PAN・企業名義の銀行口座・有効な住所・デジタル署名証明書)および毎年4月〜6月の詳細確認義務と未更新時の無効化
  • ジェトロ 貿易・投資相談Q&A(貨物海上保険関連:荷主としての貨物への保険の種類と留意点/輸入商品の保険料算定方法と填補される損害/輸出FOB保険)
  • ロンドン保険業者協会 協会貨物約款「Institute Cargo Clauses (A) / (B) / (C)」
  • インド関税評価規則(The Customs Valuation (Determination of Value of Imported Goods) Rules, 2007)第10条第2項および各但書——輸送費が確認できない場合はFOB価額の20%、保険料が確認できない場合はFOB価額の1.125%、航空輸送における20%上限
  • インド財務省 Notification No.91/2017-Customs (N.T.)(2017年9月26日)および Circular No.39/2017-Customs——輸入地における荷役・荷卸・取扱費用の1%擬制加算(landing charges)の廃止
  • インド最高裁 M/s Wipro Ltd. v. Assistant Collector of Customs(2015年)——landing charges は実額によるべきとした判断
  • インド最高裁 Union of India v. Mohit Minerals Pvt. Ltd.(Civil Appeal Nos.1390 & 1394 of 2022、2022年5月19日)——CIF輸入における海上運賃へのIGSTリバースチャージ課税の無効。FOB輸入についても同旨の高等裁判所判断(グジャラート高裁・ボンベイ高裁)
  • インド関税法(The Customs Act, 1962)第46条——Bill of Entry の提出期限(到着日の前日の終わりまで/到着予定30日前からの事前提出)および遅延提示手数料(初日から3日目まで1日5,000ルピー、以降1日10,000ルピー)
  • インド関税法第28DA条および CAROTAR 2020(Customs (Administration of Rules of Origin under Trade Agreements) Rules, 2020/Notification No.81/2020-Customs (N.T.)、2020年8月21日)——輸入者のForm I情報保有義務、Bill of Entry提出日から5年間の資料保管義務、輸出国当局への照会に先立つ輸入者への情報要求
  • 日印包括的経済連携協定(IJCEPA、2011年8月1日発効)および日本商工会議所「日インドEPA 特定原産地証明書 様式・記入要領」(第2回参照)
  • 航路・リードタイム・港湾フリータイム・デマレージに関する記述は、物流事業者および業界解説の公表値(日本発インド向け海上輸送サービス、ナヴァ・シェヴァ/ムンドラ/チェンナイ向けトランジットタイム、ダイレクト混載サービスの短縮効果、JNPA等における無料保管期間と超過課金)に基づく参考値であり、公的機関の確定値ではありません。
  • 本シリーズ第1回〜第5回(買い手地図/上陸コスト/規制の4関門/展示会・商談/契約・決済・品質クレーム)

※本稿は公開情報の要約・整理を目的とした実務ガイドであり、法務・税務・通関・保険・投資・取引の助言を意図するものではありません。法令・規則・約款・料率は執筆時点(2026年9月)で確認できた各機関の公表資料に基づきます。制度は改定されますので、実際の取引条件の決定・出荷・付保にあたっては最新の一次情報をご確認のうえ、必要に応じてフォワーダー・通関業者・保険会社・法律/税務専門家・JETRO・JIIPA等の支援機関にご相談ください。

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背戸土井 貴之

Author
背戸土井 貴之 / 株式会社インフォアイ 代表取締役

繊維商社にてインド生産を中心とした業務に12年間従事。現地工場との生産管理や品質管理、繊維ビジネスの実務経験を積む。その後、2002年にインドと日本を拠点とする株式会社インフォアイを設立。繊維業界向けのクラウドソリューション開発や画像加工サービス「キリコム」を中心に事業を展開。現在は繊維業向けクラウド「KIRIKOM PLUS」など、繊維業界の業務効率化とデジタル化を目的としたソリューションを日本・海外の企業に提供している。

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