「時は金なり」という格言があります。
時はお金ぐらい大事なものだという意味なのですが
お金は何もしなければ減りはしませんが、時間は何もしなくても
確実に減っていきます。
そういう意味ではお金以上に大事にしなければもったいないものかもしれません。生きとし生けるものは時が過ぎれば必ず死にます。無駄に時を過ごせば無駄な人生を生きることになります。
人間は易きに流れるように作られており、楽をして儲けようとか、楽をして痩せたいとか、楽をして幸せな家庭を作りたいとか思ってしまいます。
そういう人間の性(さが)を利用して投資話を持ち込んだり、どうせリバウンドするのに楽やせを勧めたりする商売があちこちにあり、オレオレ詐欺も無くなることはありません。楽して幸せになりたい人を利用した悪徳商売は世界中、どこでも、いつの世でもあることになります。
効率的に仕事はすべきですが、決して楽をしてやれるほど甘くはない。
時間を有効に使い、努力して目標を達成するものなのです。
昔のT社では敢えてリスクに挑戦する経営を目指しておりました。
「敢えて難行道に挑む」当時の自分にも厳しい経営者の言葉です。
普段の地道な努力をしないと、とても目標は達成出来ません。
そういうことは時間を使って努力するしかないのです。そうすると無駄な時間などを作ること自体できません。
年を取ると本当に時間が早く感じます。あっという間に一年が過ぎる
実感があり、何もしなくてもどんどん過ぎる月日に正直、焦ります。
まさに「光陰矢の如し」です。
偉そうなことを言っておりますが、私の15年の無駄の話をいたします。
私の出生地は宮崎です。のんびりした風土のためか、ゆったりと時間が過ぎていた感じがいたします。大阪という都会に来て人の歩く速度が速いので驚きました。
入社しても仕事のスピードが皆よりも遅く、要領も悪かったのでしょう。
課長からの評価は悪く、何故か入社は一番の成績で入社したのに、毎年評価は落ちていきました。この仕事は自分には向いていないのだと思い込み、大好きな故郷に帰りたくなりました。家内を説得し、故郷にある会社の中途試験を受け、内定をもらいました。
会社にも退職の打診をしたところで、家内の母親から電話を貰いました。 「頼りにしている娘が九州のような遠い所に行くのは忍びない。どうか会社を辞めないで欲しい」と。会社からも退職は保留ということになり、私はなんとか会社に踏みとどまる決心をします。
辞めるにやめられず、悶々と毎日が過ぎていきます。「退職を言い出すダメな奴」とレッテルも貼られます。
そんな時、辞令が出て他の課に配属になります。想像を絶するほど厳しい新課長でしたが、売れ筋を作り、その商品を売れる得意先を見つけて営業する楽しさに、そのうち気づかされます。それからの私は自ら仕事を作り、仕事に没頭することになります。猛烈に忙しくなりますが、仕事自体が楽しいので苦痛ではありません。そこからは自分で言うのもおかしいですが、仕事が好きでたまらなくなります。
しかし、そこに至るまでに約15年の月日が経っています。辞めたいが辞められないと自問自答した15年です。私にとっては空白の15年でした。なぜあの時に前向きに仕事を捉える事が出来なかったのか。悶々とする時間があればリサーチしたり、勉強したりと自分を成長させるための行動を取ることが出来なかった事に悔しい思いを今でもしています。
15年も時間があればどんなことが出来たのだろうと今では思いますが、漫然としていれば15年ぐらい簡単に時間は過ぎていくのです。
仕事が私の性格に向いていない。頑張っているのに上司は評価してくれない。会社が、上司が悪い。と仕事が上手くいかない理由を環境や会社、上司のせいにします。
そいう思考の行き着く先は会社を辞めたいという結論になるのです。
上手くいかない事は自分の中にあるのだと考え、反省し、修正を重ねる努力をすれば必ず結果は出るはずで、出ないにしても前向きな努力をしている姿は周りが気づき、応援もしてくれるはずです。
私が若い時にタイムスリップできたらと思っても人間である以上は無理です。
今が大事なのです。今を精一杯生きることが時間を無駄にしない生き方になるのではないでしょうか。
仕事には一年や二年では成し遂げることが出来ない事があります。会社として得意先を量販から専門店アパレルに変えていこうとする戦略もそうですが、個人としても商品知識を習得するとか人脈をつくるとかいったことは一朝一夕できる事ではありません。中期な目標を立て、出来れば周りの人に目標を宣言して
最速で3年、遅くとも5年内にやりますという目標を立てることで、漫然と時間が流れる自分を律することが出来ると思います。しかし、この中期な目標は毎日意識しなければ成し遂げることは無理だと思います。私は3年内に粗利20%という目標を立てましたが、課員全員に毎日、呪文のように唱えました。毎日課員に自分に、目標を擦り込むことにより達成できたのだと思います。
ダメ営業の時、この会社で一生働く覚悟をするなら課長になることだと思い、ある時、課長になる明確な目標を立てました。当時の課長はカットソーの専任課長でしたので経験、知識とも追いつくにはかなり時間がかかるし、その課長が部長になり、自分が課長になるのは長い道のりだと思えました。当時の課長は利に敏くて、チャレンジ精神に富んでいましたので、会社がまだやってない商品を開発し、その商品で儲けて見せさえすれば、私に商品を任せ、応援してくれると読み、布帛のカジュアル商品をやってみたいと進言したところ、任してくれました。
こうして私は3年内に課長になる目標を立てます。早期に達成する為に、名古屋本店のカジュアルパンツ担当やライバル会社のタキヒョーの担当者に会い、布帛カジュアルのイロハを教えてもらい、仕入先まで教えてもらいました。
ライバル会社の社員からノウハウを教えてもらうなど、今から思うと考えられませんが、それだけ私は必死だったのだと思います。私がまだ若かったのと、会う相手に敬意を持って接したので色々と教えてくれたのだと思います。
まだカジュアルパンツがブームになりだした頃でしたので、私が作った商品でも良く売れました。まずまずの実績を上げてから、私は広島の生地屋にストレッチ素材を20万本分発注し、その生地を北京工場で加工する加工貿易を計画しました。北京での加工賃商談は難航しましたが、何とか商談成立しました。相当な量の商品に不安がありましたが、必死になって販売し、何とか完売することになります。その仕事で私は自信がつき、今が課長になるタイミングだと勝手に判断します。課長にしてくれたら150%の売上利益をあげて見せると会社に大風呂敷を広げます。
1) 明確な目標を掲げる
2) その目標のためどのような施策を実行し、いつまでに達成するか決める
3) 決めた施策の賛同者を得る
4) その施策を実行するためにはどんな困難も乗り越える気概を持つ
5) 仕事を通じて今の仕事に関しては経験、知識、判断、決断とも会社でNO,1と
自信を持つ。
纏めてみると以上のようになるのでしょうか。
時代も環境も能力も人それぞれに違いますので施策はそれぞれだと思いますが
目標を立て、その目標を達成するため時間を決める事は、長期、中期、短期だろうが大事なことです。それによって、今ある自分を律することになるからです。
しかし、なんといっても必ず目標を達成するという強烈な意思がポイントだと思います。私にとっては、どん底だと思えた環境から這い上がるには「粗利20%」「課長に昇進」という目標に対する強烈な意思がなければ成しえなかったと思います。私の場合、この二つの目標とも1年か2年で達成しています。
意識していないと時間の無駄は毎日起こります。皆さんも今スグしたほうがいと思っていることがありませんか?今やることがベストということが分かっていても、報告しにくいとか、報告した後で悪いことが起こるのではないかというような不安が報告を遅れさせます。アポイントを取るにしても前回の商談の返事ができてないとか、嫌がられはしないかとマイナスイメージが躊躇に繋がります。前回の商談の返事が出来てなければ返事が出来るよう動き、時間がかかるようであれば、その旨を告げて、商談は商談としてアポイントを取ればよいのです。
直ぐやれば、何でもないことを、やらないから発生する時間の無駄、遅れたから発生する問題、そこから生じる利益の喪失。時間は有限であり、躊躇したり、悩んだり、くよくよしたりする暇はありません。
とにかく目の前の問題に真剣に取り組み、解決する。そして成果が上がるだろう新しい課題に対して前向きに進んでいく。時間を有効に使うか、無駄に使うかはすべて貴方に託されているわけです。
社長が判断したり、決定したりするものではありません。あなた自身がプラス思考で時間を味方につけたなら、仕事も結果が出るし、充実した人生になることを固く信じて疑いません。