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成長への道筋

以前、「どうやって売り上げを増やすか」というテーマで考えたコラムがあります。結局は新商品開発と新規得意先開拓ではありますが、考え方の参考になるかもしれないと下記紹介したいと思います。

売上を増やすのは大変ですが減るのは簡単に減るので、増やす努力を普段にする事が大事であると思います。新規得意先を探す、同じ得意先で他ブランドの開拓、新商品開発をするなどの努力です。
良く、攻撃は最大の防御なりと言いますが、常に新規得意先、仕入れ先候補を探しておいて新規得意先の売り上げを増やすことは攻撃です。今の得意先との取引を減らさないようにするのは防御です。
勿論、防御は大事ですが、堅固なる防御と果敢な攻撃の巧みな組み合わせが必要なのだと思います。
減ることは無いだろうと思うのではなく、常に減る可能性があることを前提で営業を考えることが大事だと思います。

以前私が課長だった頃、景気が悪い時に信用不安のある得意先を列記したら2,3年内に売り上げが半分になると予想が出来ました。現状の得意先から撤退したくても、その得意先との取引があれば時間が取られ、新規の得意先を開発する時間がとれません。
理想は増やしながら減らしていく事ですが、なかなか上手くいきません。そこで各人が担当している主力得意先で撤退すべきところの取引減目標を設定し、先ずは減らす事から始めました。
そうすると営業は個人の業績が減りますので必死で新規の得意先を探し、個人業績減をくい止めようとしました。そうすることで新規得意先が増えていきました。

結局、現場の営業が本気になれば、出来ないと思えることも出来るのです。お互いの新規開拓情報共有のため、毎週の月曜日の会議で新規得意先と取引する為に先週どんな努力をし、どんな成果があったかを報告し合い、新規開拓の為の情報交換もしておりました。
防御である従来の得意先との売上維持、増にも工夫が必要だと思います。
長い取引の中でどうしてもマンネリ化現象が発生します。相手の考えていることが分かりますので、それに合わせることが簡単にできるようになります。そこに落とし穴があるのではないかと思います。
得意先の店頭が陳腐化し業績が低迷すれば、いずれ当社との取引に影響が出ます。
近江商人の言う「三方よし」買手よし、売手よし、世間よしの精神が大事です。得意先の店頭を常に観察し、競合店の違い、元気な店との違いを見極めながら企画の提案をする、相手の企画に疑問を投げかけるなど、売り手よし、世間良しにする為の真のコンサルトセールスが出来なければならないと思います。
そうした日々の営業活動の中から信頼関係の構築が出来るのだと思います。

自分のミスで取引縮小になることもあります。そのミスが得意先に再起不能なダメージを与えたら別ですが、この場合も誠心誠意、ミスのフォローをし、最低限のダメージに終わる努力をし、ミスを上回る信頼関係を構築することが大事だと思います。取引中止でなければ「雨降って地固まる」の関係にするのは難しくないと思います。

結論から申しますと、起死回生の妙手は商売にはなく普段の地道な努力の中にしか妙手はないということになります。T社の生地部は業界の中で一人勝ちと言われるほどの地位を築いていますが、昔から常に元気な得意先を小規模のうちから探し、次の主力得意先を探していました。
問屋隆盛の時代は問屋へ、SPAアパレルが隆盛になればSPAアパレルへと確実に元気な得意先へ入り込んでおりました。次に伸びるだろう業態を予測し、その業態に攻勢をかけており、私もそれを横目に見ながら努力しておりました。

今、元気な得意先がいつまでも元気だという保証はありません。次にくる元気な業態は何か、得意先は何処かの情報を収集し、常に情報交換しながら売上増の努力をすることが大事だと思います。

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注意の仕方

先月、電車内でタバコを吸っていたことを注意された男が、注意した男子高校生に殴る蹴るなどの暴行を加え重傷を負わせた事件がありました。
SNSでは男子高校生の勇気を称える声とともに「見て見ぬふりをする大人が情けない」との声も上がったそうです。
高校生がどのように注意をしたかが分かりませんが、暴力男は皆の前で注意され逆ギレしたのは間違いありません。

若い頃、私も似た経験があります。
家路に向かう電車内での出来事です。夜も遅く、車内はまだ座れる席もあるという感じで、空いていました。そこに、中年の男性が足を組み、大きな声で携帯電話で長々と話をしています。話を聞くつもりはありませんでしたが、どうしても聞こえてしまうので、聞いてしまいました。内容はどうでも良いようなことで、急ぐような話ではありません。私はちょうど前の席に座り、周りの人は、しかめ面をして携帯電話の通話に迷惑している様子でした。私も同じように、しかめ面して我慢をしていましたが、長々と続く話に、つい「車内で電話をかけたら、あかんやろ!」と大声で注意しました。

車内の全員がこちらを注視しました。その男性は携帯電話を切って、「誰が電話をしたらあかんゆうて決めたんや!どうしても必要なことやったら、ええのんちゃうか!車掌にどちらが、おおとんのか、聞こやないか」私は「そんなもん、車掌に聞かんでもわかっとる」その男性は席を立ち、「降りろ!話をつけよやないか!」とドアの前に立ちました。私はついていくつもりはありませんでしたが、次の停車駅は私の降車駅の千里丘駅でした。

しかたなしに降り、彼が向かうプラットホームの端までついていきました。彼は立ち止り、こちらを向く、私は走って逃げようか、どうしようかと思っていたその時、彼が「すみませんでした!許してください!あなたが言うことが正論です。みんなの前で恰好がつかんので、あのように言いました。」と言って頭を下げたのです。私はホッと胸をなでおろしました。

数日後、私はその話を友人に話しました。

その友人は興味深そうに話をきいていましたが、「市来、それはお前が悪い、そんな注意の仕方やったら、誰でも素直に聞けるはずがない、最悪な注意の仕方や!怪我せんかったんはラッキーと思わなあかんで!」

私の友人は得意そうに、彼が車内で体験した話をしてくれました。

その車内は混んでいて、作業着を着たおじさんが座席で横になって寝ていたそうです。もちろん立っている人がいるのですが、注意する人はいなくて、皆、見てみないふりしていました。

彼は、勇気を振り絞り、腰をかがめて「おじさん、気分が悪いんですか?なんでしたら、車掌を呼びましょうか?」そのおじさんは「いやいや、大丈夫や」といって、ちゃんと座りなおしたというのです。なるほど、素晴らしい注意の仕方です。

友人の注意の仕方は相手に立ち直るキッカケを与えています。しんどくて寝てはいたが、混んできても起き上がるキッカケがなかったのかもしれません。相手の立場を考えて、体面を保ちながら、優しく注意をする。

私の注意の仕方は相手の顔がつぶれます。私の注意が正論であればあるほど、、彼は恥を衆目にさらされることになるのです。素直に注意をきけるはずがありません。

仕事で注意をする場合もそういう配慮が必要ではないでしょうか?場合によっては恥をかかせることも必要でしょうが、相手が恥をかかせられたことだけにこだわってしまったら元も子もありません。その人物、時と場合を考えながら上手に叱る、これはハイテクニックですね。相手が反省するように叱らなければ意味がありません。

中国の工場に当社の品管が指導に行きます。その指導員は仕事熱心のあまり、縫製ラインの工員に向かって興奮して叱りました。中国の社長から「あの指導の仕方は問題がある。いくら縫製の仕方に問題があっても、大勢の前であんな怒られ方をしたら、やめてしまいます。」とクレームがきたことがあります。

数多くの失敗をしてきた私ですが、「短気は損気」この言葉が一番心に沁みます。

私が20代の時、仕事に自信を失い、会社を辞めたいと強く思っていた時に出会い、感動した本があります。

D、カーネギーの「人を動かす」という本です。

その中に、注意の仕方の例がありますので抜粋して紹介したいと思います。

“オクラホマ州エニッド市のジョージ、ジョンストンは、ある工場の安全管理責任者で、現場の作業員にヘルメット着用の規則を徹底させることにした。ヘルメットをかぶっていない作業員をみつけしだい、規則違反を厳しくとがめる。すると、相手は、不服げにヘルメットをかぶるが、目を離すと、すぐ脱いでしまう。そこでジョンストンは、別の方法を考えた。
「ヘルメットってやつは、あんまりかぶり心地の良いものじゃないよ、ねえ。
おまけに、サイズが合っていなかったりすると、たまらんよ。……
君のは、サイズ合っているかね」。
まず、こう切り出して、このあと、多少かぶり心地が悪くても、それでも大きな危険が防げるのだから、ヘルメットは必ずかぶろうと話すのである。これで相手は怒ったり恨んだりすることもなく、規則は良く守られるようになった。“

これは相手の立場に立って、ヘルメットをかぶりたくない理由を代弁し、理解を示し、相手の心に聞き入れる準備をさせたうえで、ヘルメットをかぶることに賛同してもらったということだと思います。

そして、偉大な心理学者ハンス、セリエの言葉を紹介しています。

「我々は他人からの賞賛を強く望んでいる。そして、それと同じ強さで他人からの非難を恐れる」。

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コミュニケーション

明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

今年もテレワークになりますが、微力ながらインフォアイの皆さんのお役に立てればと頑張りたいと思います。
年頭のテーマは「コミュニケーション」にしました。

コミュニケーションが減るテレワークでは、コミュニケーションを深めるのに、それなりの工夫が必要だと思います。
私が経験した現場を再現して、皆さんに、どう工夫したら良いのかを考えてもらえたらと思います。

「何で?何で売約予算の80%しかできへんのや、今日が月末というのに何で早く言わんのや!」
「この売約残いつになったら出荷できるの?!えっ!来月末?もう、出ぇへんと違う?出ぇへんかもしれません?何で早く言わんのや!」

私が部長、課長時代、良くあった会話です。
課長としては悪い情報ほど早く欲しい、悪い情報をいち早くキャッチして対策を練り、被害を最小限にしたい、だから早く報告や相談をしてほしいという思いから出る言葉です。

皆さんも「ほうれんそう」という言葉は聞かれていると思います。
ほうれんそう→報 連 相→報告、連絡、相談
コミュニケーションの基本はこの報告、連絡、相談です。
新入社員の研修で必ずと言っていいほど、出てくるテーマだと思います。

何故、そこまで大事な事なのかを考えていきたいと思います。

この「ほうれんそう」は目標を達成するのに必要な作業だから大事なのだと思います。

会社の重要な目標は何でしょう?
重要な目標の一つは利益をあげることです。

私たちの会社は日々変化するフッション商品の売買を商いとしています。顧客に次シーズンに売れるだろう商品を正確に提案し、リスクし、顧客が要望する商品を要望する納期にお届けすることにより顧客から信用され、利益が発生します。
会社の目標の一つである利益をあげる為には企画、生産、販売、デリバリーにいたるまでの作業が無駄なく連携がスムーズになされてこそ、できるものです。
しかし、順調にいかないことのほうが多いと考えるべきです。

それぞれの段階で何らかの問題が発生するはずです。得意先からの発注変更の報告、工場からの納期遅れの連絡、仕入れ先への縫製仕様変更の相談、その一つひとつがスムーズになされなければ大問題が発生し、利益を生むどころか大きな損が発生します。

この「報 連 相」が普通にできる組織は生産性の高い組織づくりが出来、チーム力を高め、相乗効果が発揮でき、顧客満足が可能になり利益につながり、会社は発展します。

これが出来ない組織はどうなるでしょう?
二度手間、やり直しなどムダ満載の組織になり、チーム力が低下し、パワーを削ぎ合い、顧客不満足が発生し、客離れ、損ばかりが発生し、組織崩壊となります。

この「報 連 相」が会社の命運を左右する。ことそれほどに重要なことなのです。

それほどに重要な報連相も、受け手がしっかりと受け止め、真摯に反応しなければ文化として定着することは難しいと思います。
折角、報連相をしても、受け止めてくれ、結論を出さねば誰もしなくなります。
批判をされても、怒られてもしにくくなります。

前述の課長と課員の会話は課員も報告の義務を怠ったけれども、報告しにくい雰囲気を作っている課長も悪い。
おまけに、月末まで売約がどのような推移をしているのかチェックしないのも
管理ミスです。自分のミスを棚に上げて課員を責める。ますます、人間関係は悪化し、信頼関係が崩れていきます。

課長は「報告!報告!」と言うけども、「すると怒られるから報告したくない、しても聞いてくれているのか反応がないし、結論が出ない」という心境に追い込むことが、悲劇を生みます。

部下は報連相をする義務があり、上司は報連相をさせやすくする責任がある、する側、させる側と双方に義務や責任があるのではないでしょうか?
しかし、言いにくいから報告しなかったというのは理由になりません。報連相ができなければ、組織に迷惑をかけるばかりか、結局、本人が一番苦しむことになります。

ところで、報告とは何でしょう?

報告とはある任務を与えられた者がその経過や結果を述べる事で、どちらかといえば縦情報で、あなたと周りを結ぶ生命線で社員としての義務であり、PRという側面もあります。

連絡とは気持ちや考え方、情報を知らせる事、どちらかといえば横情報で、周りの人への気配りと情報共有なので、複眼で見る必要があります。

相談とは問題の解決の為に話し合ったり、他人の意見を聞いたりすることで、自分の見解を示して考えることであり、周りの知恵を借りての問題解決を図ることであります。

「ほうれんそう」が大事なのは皆さん周知のことと思いますが、これが普段に活発にされる、そういう文化が必要なのだと思います。

それはコミュニケーションが自然にできる職場にほかなりません。

テレワーク主体の会社だからこそ「報連相」が自然にできる会社文化を作っていって欲しいと思います。

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予測とスピード

今日は、「正確な予測力」と「スピード」が成功の鍵と言う話をしたいと思います。
直ぐやれば、何でもないことを、やらないから発生する時間の無駄、遅れたから発生する問題、そこから生じる利益の喪失。時間は有限であり、躊躇したり、悩んだり、くよくよしたりする暇はないのです。
何をやるか決めたら、躊躇なく直ぐやる。
しかし、何を直ぐやるかが問題です。
仕事では利益が出そうな対象に対してスピードを持って対応すると言うことになります。それでは利益が出そうな物をどのように予測していくのでしょうか。
予測力
T社時代にヒット商品になった「フェイクレザー ライダースジャケット」があります。ヨーロッパリサーチ出張からデザイナーの「レザーが良く目についた。日本でも売れるかも」の一言に私は「売れる」と感じました。
その場で、営業、デザイナーを集め「今週末までに店頭リサーチをして、売れそうなレザー商品を買い集めてくれ」と言います。その週末までには売れそうなサンプルが集まり、一番売れそうな同じ商品を数枚買い、
主力のメーカー数社に送り、素材の収集と縫製出来る工場を探します。同時進行でデザインの検討と型紙の準備に入ります。
とにかく、同業他社が提案しないうちに企画と生産の準備をし、コストダウンの方法も吟味します。
兎に角、売れるためにはスピードが命だと思っていました。素材、工場、見積もり、納期もすべて準備万端揃えたうえで
一斉に企画の提案に入ります。得意先に対する質問にもスピーディーに返事が出来ますので受注はスムーズに進みます。
納入した先での商品の消化は順調に進み、読み通り追加注文が入りだし、工場は増産体制に入り、そのシーズンのヒット商品に繋がったのです。
私がデザイナーの一言に敏感に反応しなかったら、あり得なかったストーリーです。得意先に売れるかどうか、いちいち確認していたら、タイミングを外していたと思います。

自分の予測を信じて準備を整えることで、スピードは格段に上がります。
私のこのヒット商品に至るまでの一連の作業は
予測→準備→提案→受注となると思います。

しかし、正確な予測はどのようにしたら出来るのでしょうか?
京セラの稲盛名誉会長が「働き方」の本の中でこう言っています。

寝食を忘れるほどに思い続け、一日中、そのことばかりをひたすら繰り返し考え続けていくと、その思いは次第に「潜在意識」にまで浸透していきます。
「潜在意識」とは自覚されないまま、その人の奥深く潜んでいるような意識のことです。普段は表に出てきませんが、思いもかけないとき、またいざというときに現れて、計り知れない力を発揮します。
多分私の場合も、何が売れるかをひたすら考えていたから、デザイナーの一言に敏感に反応出来たのだと思います。

正確な予測を立て、スピードを持って対処していく事が大事ですが、
それは、ひたすら毎日のように考えていく事なのです。

兎に角、目の前の問題に真剣に取り組み、解決する。そして成果が上がるだろう新しい課題に対して前向きに進んでいく。時間を有効に使うか、無駄に使うかは、すべて貴方に託されているわけです。
社長が判断したり、決定したりするわけではありません。あなた自身がプラス思考で時間を味方に付けたなら、仕事も結果が出るし、充実した人生になることを固く信じて疑いません。

特に最近、長時間労働は流行りませんから、時間内にどれだけ多くの仕事が出来るかが勝負です。
これは得意先も同じですから、やると決めたらなるべく早く店頭に納入したいに決まっています。
商品決定の決め手になる納期や見積もりの返事は迅速に対応しなければ、競合他社に後れを取ることになります。企画の提案もそうです。

しかし、提案が早ければ良いかと言えば、そうでもありません。その後の納期、見積もりなどの詰めとスピードに甘さがあれば、提案だけ取られ、他社に発注が流れることもあるのではないでしょうか?
詰めやスピードの決め手となるのが事前準備だと思います。

事前準備は今年の4月のコラムで送信しております。

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売値の考え方

物には必ず原価があり、売値が決定され、流通する事になります。
売値が高く原価が低い程、益率は高く儲かります。売り値が低く、原価が高いほど益率は低く儲かりません。益率の低い経営はいずれ、経営破綻を招きます。
会社が成長するためには高益率経営を目指すのが当然ですが、これが難しい。
しかし、難しいからと避けて通る訳にはいきません。
どうしたら高く売ることが出来るのか、何故、安売りになるのかを今日は考えていきたいと思います。

日本航空を見事に再建した京セラの稲盛和夫会長は「値決めは経営である」と言っています。

●値決めは経営である

「値決めはたんに売るため、注文をとるためという営業だけの問題ではなく経営の死命を決する問題である。売り手にも買い手にも満足を与える値でなければならず、最終的には経営者が判断すべき、大変重要な仕事なのである。
私は「商売というのは値段を安くすれば誰でも売れる。それよりも低かったらいくらでも注文は取れるが、それ以上高ければ注文が逃げるという、このギリギリの一点で注文をとるようにしなければならない」ということを社内の営業部門に対して繰り返し強調した。顧客が喜んで買ってくれる最高の値段を見抜いてその値段で売る。その値決めは経営と直結する重要な仕事であり、それを決定するのは経営者の仕事なのである。」

___“稲盛和夫の実学”から引用___
●価値観、需給観

T社の生地は高いことは分かっているが、世間の商品とは差別化されているとか、現物で買えるので買わざるおえない事が良くありました。原価よりも高いとか安いとか関係ありません。価値観、需給観によって値段は変わります。少々高いがこの品質で、この納期で出来るなら高くはないと思ってもらうことが大事です。

●何故、安売りになるか

皆さんのOEMの商売は商品が選ばれ、価格が話し合われる時には、すでにその商品が「売れる」という判断がなされた後の段階であって「安いから買う」とか「高いから買わない」とかいう段階ではなく「商品を買いたい」という意思があっての上での価格交渉であるに過ぎない。安くしなければ売れないと思う営業は、値段を負けなければお客さんを逃がすという幻想や錯覚を持っているのではないかと思います。値段を負けるタイプは、ついお客さんの話のペースに乗って、ずるずると喋り過ぎるうちに、相手に引きずり込まれ、一定の射程距離が置けないところにある。利害の違う交渉事は、意見は意見として聞き、それとは別として自分の主張を通す工夫をすることである。どうしても善良な人間は相手の言い分に同調しすぎ、自分のペースが守れないまま妥協してしまう。あくまで、相手の主張とは一線を引いてクールに対処するようにしなければならないが、それには、あまり都合の悪いことは喋らないことが肝要です。

●価値観、価格観、需給観

本来、価格は価値観、価格観、需給観で設定するものであり、原価の20%アップという単純な売値設定ではないはずです。しかし、原価の意識は大事です。会社が決めた販売ルールを守らなければ、会社は社員の給料を払えなくなります。
ただ、原価の20%アップだけで価格を決めると、もっと高く売れる価値であった場合、機会損失が生まれます。
衣料品を売るという行為には種々のサービスがついています。色柄、品質、ファツション性、納期、生産力、デリバリー、フォロー体制、リスク力、資金力などです。これにはすべて経費が掛かりますから、売り手から見ると、高く売るのは当然です。
しかし、買い手からすると、販売しやすくしたり、利益を取りたいために安く買いたいと利害は一致しません。そこに矛盾が生じます。
しかし、あくまで価格の主導権は売り手にあるという認識であるべきです。
「価格は売り手が決定する」というのが真の実態であって、この価格を認めて貰うために、どれだけのサービスを与えることが出来るかが、本来の競争力と考えるべきです。
「価格は売り手が決定」し、それを商売上の都合で適正かどうか判断するのが買い手であって「価格は買い手が決定する」ものではありません。
原価意識を持ちながら、価値観、価格観、需給観で売値を決める。

決めた売値を実現していくためには販売技術、駆け引き、説得術、忍耐と決断などの格闘技が必要になります。格闘技は多くの現場での真剣勝負で身につくものです。

安売りすることが得意先からの評判を良くすることでは決してありません。安売りする営業は得意先から甘いと思われることのほうが多いと考えるべきです。ちゃんと値を通す営業は「しっかりした営業」と思われるはずです。「値も通すが、フォローもしっかりしている。」そういう営業が信頼される営業です。

以下に紹介するのは、伊藤忠商事㈱の岡藤正弘会長の「経営教室」と題する社員向けの話です。
_________岡藤正弘会長の「経営教室」から引用___________
↓↓↓
「できない奴ほど文句を言う。
やっぱり、自分の仕事ができない理由を社内のルールや外部環境のせいにする人が沢山います。
僕の経験から言っても、仕事ができない人間ほどルールに対し細かい文句を言う。
予算が達成できない理屈ばかり、次々に並べていくんだよ。未だに「リーマンショックの影響が」とか言い訳している奴がいるからな。
みな戦う条件は同じでしょう。それなのに、結果が出ない理由を社内ルールや外部環境のせいにしたって、面白くもないだろうに。スポーツも仕事も、ルールがあるから、面白いわけですよね。
もし、本当にルールがおかしいと思うなら、結果を出してから主張すべきですよね。」

↑↑↑_________岡藤正弘会長の「経営教室」から引用___________

厳しい口調ではありますが、当然のことを言っていると思います。

今は円安傾向ですが、為替もルールです。日本全国円安は同じです。この日本全国円安というルールの中での商売ですから儲からない理由にはなりません。私は140円の為替の時を経験していますが、同業者とせめて130円ならとブツブツ言っていたのを思い出します。80円の時、日本全国の輸入業者が儲けていたかというと、そうではありません。その時はその時で80円というルールの中で過激な競争があったわけです。
為替を変えることはできないわけですから、他のところで知恵を絞って頑張るしかないのです。仕事がうまくいかないのを会社、上司、部下のせいにしたり、環境のせいにしたりする人は成長できません。上手くいかないのは自分の中にあるのだと思わなければ自己改善に至らないからです。厳しい環境の中で知恵を絞って、どう戦っていくかに商売の面白みがあるのです。

岡藤正弘会長が「本当にルールがおかしいなら結果を出してから主張すべきですよね」
と言っていますが、社長の本音だと思います。結果も出してない人の話は聞く気にならない、認める気にならないということでしょう。会社は結果がどうあれ、給料を払わなければならない。赤字でも払わなければならない。しかし、赤字では会社は倒産し、社員は路頭に迷う事になります。会社は社員を守る為にも会社を守るためにも良い結果を出す必要があるのです。社員一人ひとりに、どんな環境の中でも知恵を絞り、努力をして生き抜いていく逞しさが必要です。
私は益率を守ることで会社の体質が良くなると信じています。売り上げは減るのを覚悟で朝から晩まで一年中、益率向上にこだわった結果、企画、生産、デリバリーに至るまで質が向上し、益率だけでなく売り上げも増加した経験があるからです。反対に安売りを認めると、会社の体質が弱体するどころか社員の質も低下します。益率は会社の質のバロメーターだと思っています。

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粗利3%アップの真実

前回は「売値の考え方」で値決めは経営であるという話をしました。今日も
数字へのこだわりの私の経験談です。数字の話ばかりでうんざりするかもしれませんが、我慢して読んで下さい。

「粗利3%アップの真実」

平成13年度、私が課長していた59課は5年間の業績低迷を脱し、売上20億8千万 昨年対比110%、  粗利17.74%昨年対比115%、 営業利益1億5千万 昨年対比148%の業績で、私としては好業績が出せたという自負がありました。
ただ、当時の製品部では粗利20%が目標でした。しかし、カジュアル商品を扱う当課ではそんな高い粗利は出せるはずがない、というのが私の認識でした。粗利17.74%は過去15年間でも過去最高の粗利率でしたので、私は胸を張り社長面接に臨みました。
ところが、昭廣前社長から褒められることを期待していた私は予想外の言葉に耳を疑いました。前社長は「どいうことだ!あれほど粗利20%を目標にしろと言っているだろう。何故できないのだ。」
私は「ヤングのカジュアル商品をやっていて粗利20%は不可能です。無理に達成すれば売上は半分になります。そうすれば利益を出すことはできません。」
と反論いたしました。
前社長は「売上は半分になっても良い!粗利20%できなければ課として認めない!課長としても認めない」と一歩も譲りません。
私は売上を半分にすれば、どういうことになるのか見せてやろうじゃないか、と半ばやけ気味になり、「分りました!粗利20%を必ず達成して見せます!」と答えてしまいました。

誰から言われたのでもない、自ら会社ではやってない新分野に挑戦し、ゼロから課を立ち上げ15年間一度も赤字を出さずにやってきた私にはプライドがありました。
そんな私は「課長として認めない」と社長から言われたのはショックでした。

何が何でも20%を達成する!そういう思いで、その日から課員に宣言しました。
課員からは「売上が半分になります。」「今の得意先では無理です」「今の商品では無理です」「今の仕入れ先のグレードでは不可能です」と無理、不可能のクレームの嵐でした。
私は「売上は半分になっても構わない。得意先も仕入れ先も商品も変える必要があれば変える、兎に角、どんなことをしても粗利20%を達成するのだ。」と営業はもちろん、デザイナー、パタンナー、事務、デリバリーに至るまで粗利20%を達成するために知恵を絞る、努力をする、行動することを要求しました。

朝から晩まで粗利20%を連呼します。もちろん、月曜日の朝会は粗利20%を達成するためにどうしたら良いかがテーマです。毎週毎週、毎日毎日、朝から晩まで粗利20%の話しかしません。

粗利20%を達成するのに不都合な得意先の取引はやめる、粗利20%の利益がとれないような企画はやめる、粗利20%に見合わない仕入れ先もやめる、営業方針は単純明快でした。ネーム付けやラベル付けなど国内で作業していたものはすべて経費の安い海外現地工場でやる、できるかぎり、荷物をまとめて輸送料金を安くするなど、諸掛にもメスを入れました。

粗利20%の鬼と化した私は一年間、徹底的にこれを実行いたしました。

結果、1年後の平成14年度には粗利20.71%、2.97%アップと約3%粗利アップが達成できたのでした。そして、半減を覚悟していた売り上げは21億7千万と104%伸ばすことができたのです。そして営業利益が8千万増、含みも9千万増やすことができました。減ったのは諸掛(90.1%)と在庫(67.5%)だけでした。得意先は平成13年にはベスト5であった低価格の専門量販、アパレルは激減し、当時、勢いのあったSPAアパレルがベスト5にずらりと並びます。

粗利3%アップへの挑戦は好業績をもたらしただけではなく、企画、生産、販売、デリバリーに変革を迫り、営業に変革をもたらしたのです。

私は前社長と課員に感謝しました。前社長はともかく、課員には感謝をどのような形で表現しようかと苦慮しました。そして、キザとは思いましたが、妻帯者の営業の奥さんには「貴女の支えでご主人に頑張っていただき、立派な成績を出していただきました。心から感謝いたします」というお礼の手紙とバラの花を贈りました。

自信を持った営業は粗利20%を確保しながら、次の年は4億4千万増の26億1千万を達成します。そして、平成19年に私が課長を退任するまで、粗利20%を割ることはありませんでした。
粗利にこだわる、この一点にこだわることが、すべてに変革をもたらす結果になりました。粗利3%アップへの挑戦は変革を迫ること…….これが真実だったのです。

課長15年目の私がマンネリ化に落ちいっているのを、前社長は見透かしていたのだと思います。社長面接での一喝がなかったら59課の脱皮はありませんでした。
あの一喝を、今も心から感謝しています。

無理だ、不可能だと言っていた時はその時の実力では無理、不可能と思えたのであり、自己変革が出来れば可能だったのです。不可能と思える様な目標を掲げ、どんなことがあってもあきらめない執念で粘り強く目標に近づいていく、不可能を可能に変える、そこに仕事の醍醐味があるのだと思います。

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時間軸

「時は金なり」という格言があります。
時はお金ぐらい大事なものだという意味なのですが
お金は何もしなければ減りはしませんが、時間は何もしなくても
確実に減っていきます。
そういう意味ではお金以上に大事にしなければもったいないものかもしれません。生きとし生けるものは時が過ぎれば必ず死にます。無駄に時を過ごせば無駄な人生を生きることになります。

人間は易きに流れるように作られており、楽をして儲けようとか、楽をして痩せたいとか、楽をして幸せな家庭を作りたいとか思ってしまいます。
そういう人間の性(さが)を利用して投資話を持ち込んだり、どうせリバウンドするのに楽やせを勧めたりする商売があちこちにあり、オレオレ詐欺も無くなることはありません。楽して幸せになりたい人を利用した悪徳商売は世界中、どこでも、いつの世でもあることになります。

効率的に仕事はすべきですが、決して楽をしてやれるほど甘くはない。
時間を有効に使い、努力して目標を達成するものなのです。
昔のT社では敢えてリスクに挑戦する経営を目指しておりました。
「敢えて難行道に挑む」当時の自分にも厳しい経営者の言葉です。
普段の地道な努力をしないと、とても目標は達成出来ません。
そういうことは時間を使って努力するしかないのです。そうすると無駄な時間などを作ること自体できません。

年を取ると本当に時間が早く感じます。あっという間に一年が過ぎる
実感があり、何もしなくてもどんどん過ぎる月日に正直、焦ります。
まさに「光陰矢の如し」です。

偉そうなことを言っておりますが、私の15年の無駄の話をいたします。

私の出生地は宮崎です。のんびりした風土のためか、ゆったりと時間が過ぎていた感じがいたします。大阪という都会に来て人の歩く速度が速いので驚きました。

入社しても仕事のスピードが皆よりも遅く、要領も悪かったのでしょう。
課長からの評価は悪く、何故か入社は一番の成績で入社したのに、毎年評価は落ちていきました。この仕事は自分には向いていないのだと思い込み、大好きな故郷に帰りたくなりました。家内を説得し、故郷にある会社の中途試験を受け、内定をもらいました。
会社にも退職の打診をしたところで、家内の母親から電話を貰いました。 「頼りにしている娘が九州のような遠い所に行くのは忍びない。どうか会社を辞めないで欲しい」と。会社からも退職は保留ということになり、私はなんとか会社に踏みとどまる決心をします。
辞めるにやめられず、悶々と毎日が過ぎていきます。「退職を言い出すダメな奴」とレッテルも貼られます。

そんな時、辞令が出て他の課に配属になります。想像を絶するほど厳しい新課長でしたが、売れ筋を作り、その商品を売れる得意先を見つけて営業する楽しさに、そのうち気づかされます。それからの私は自ら仕事を作り、仕事に没頭することになります。猛烈に忙しくなりますが、仕事自体が楽しいので苦痛ではありません。そこからは自分で言うのもおかしいですが、仕事が好きでたまらなくなります。
しかし、そこに至るまでに約15年の月日が経っています。辞めたいが辞められないと自問自答した15年です。私にとっては空白の15年でした。なぜあの時に前向きに仕事を捉える事が出来なかったのか。悶々とする時間があればリサーチしたり、勉強したりと自分を成長させるための行動を取ることが出来なかった事に悔しい思いを今でもしています。

15年も時間があればどんなことが出来たのだろうと今では思いますが、漫然としていれば15年ぐらい簡単に時間は過ぎていくのです。
仕事が私の性格に向いていない。頑張っているのに上司は評価してくれない。会社が、上司が悪い。と仕事が上手くいかない理由を環境や会社、上司のせいにします。
そいう思考の行き着く先は会社を辞めたいという結論になるのです。
上手くいかない事は自分の中にあるのだと考え、反省し、修正を重ねる努力をすれば必ず結果は出るはずで、出ないにしても前向きな努力をしている姿は周りが気づき、応援もしてくれるはずです。
私が若い時にタイムスリップできたらと思っても人間である以上は無理です。
今が大事なのです。今を精一杯生きることが時間を無駄にしない生き方になるのではないでしょうか。

仕事には一年や二年では成し遂げることが出来ない事があります。会社として得意先を量販から専門店アパレルに変えていこうとする戦略もそうですが、個人としても商品知識を習得するとか人脈をつくるとかいったことは一朝一夕できる事ではありません。中期な目標を立て、出来れば周りの人に目標を宣言して
最速で3年、遅くとも5年内にやりますという目標を立てることで、漫然と時間が流れる自分を律することが出来ると思います。しかし、この中期な目標は毎日意識しなければ成し遂げることは無理だと思います。私は3年内に粗利20%という目標を立てましたが、課員全員に毎日、呪文のように唱えました。毎日課員に自分に、目標を擦り込むことにより達成できたのだと思います。

ダメ営業の時、この会社で一生働く覚悟をするなら課長になることだと思い、ある時、課長になる明確な目標を立てました。当時の課長はカットソーの専任課長でしたので経験、知識とも追いつくにはかなり時間がかかるし、その課長が部長になり、自分が課長になるのは長い道のりだと思えました。当時の課長は利に敏くて、チャレンジ精神に富んでいましたので、会社がまだやってない商品を開発し、その商品で儲けて見せさえすれば、私に商品を任せ、応援してくれると読み、布帛のカジュアル商品をやってみたいと進言したところ、任してくれました。

こうして私は3年内に課長になる目標を立てます。早期に達成する為に、名古屋本店のカジュアルパンツ担当やライバル会社のタキヒョーの担当者に会い、布帛カジュアルのイロハを教えてもらい、仕入先まで教えてもらいました。
ライバル会社の社員からノウハウを教えてもらうなど、今から思うと考えられませんが、それだけ私は必死だったのだと思います。私がまだ若かったのと、会う相手に敬意を持って接したので色々と教えてくれたのだと思います。
まだカジュアルパンツがブームになりだした頃でしたので、私が作った商品でも良く売れました。まずまずの実績を上げてから、私は広島の生地屋にストレッチ素材を20万本分発注し、その生地を北京工場で加工する加工貿易を計画しました。北京での加工賃商談は難航しましたが、何とか商談成立しました。相当な量の商品に不安がありましたが、必死になって販売し、何とか完売することになります。その仕事で私は自信がつき、今が課長になるタイミングだと勝手に判断します。課長にしてくれたら150%の売上利益をあげて見せると会社に大風呂敷を広げます。

1) 明確な目標を掲げる
2) その目標のためどのような施策を実行し、いつまでに達成するか決める
3) 決めた施策の賛同者を得る
4) その施策を実行するためにはどんな困難も乗り越える気概を持つ
5) 仕事を通じて今の仕事に関しては経験、知識、判断、決断とも会社でNO,1と
自信を持つ。
纏めてみると以上のようになるのでしょうか。

時代も環境も能力も人それぞれに違いますので施策はそれぞれだと思いますが
目標を立て、その目標を達成するため時間を決める事は、長期、中期、短期だろうが大事なことです。それによって、今ある自分を律することになるからです。
しかし、なんといっても必ず目標を達成するという強烈な意思がポイントだと思います。私にとっては、どん底だと思えた環境から這い上がるには「粗利20%」「課長に昇進」という目標に対する強烈な意思がなければ成しえなかったと思います。私の場合、この二つの目標とも1年か2年で達成しています。

意識していないと時間の無駄は毎日起こります。皆さんも今スグしたほうがいと思っていることがありませんか?今やることがベストということが分かっていても、報告しにくいとか、報告した後で悪いことが起こるのではないかというような不安が報告を遅れさせます。アポイントを取るにしても前回の商談の返事ができてないとか、嫌がられはしないかとマイナスイメージが躊躇に繋がります。前回の商談の返事が出来てなければ返事が出来るよう動き、時間がかかるようであれば、その旨を告げて、商談は商談としてアポイントを取ればよいのです。

直ぐやれば、何でもないことを、やらないから発生する時間の無駄、遅れたから発生する問題、そこから生じる利益の喪失。時間は有限であり、躊躇したり、悩んだり、くよくよしたりする暇はありません。
とにかく目の前の問題に真剣に取り組み、解決する。そして成果が上がるだろう新しい課題に対して前向きに進んでいく。時間を有効に使うか、無駄に使うかはすべて貴方に託されているわけです。
社長が判断したり、決定したりするものではありません。あなた自身がプラス思考で時間を味方につけたなら、仕事も結果が出るし、充実した人生になることを固く信じて疑いません。

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雑感

信頼関係の構築

4日投開票の東京都議選は自民党が改選前の25議席を上回る33議席を獲得して第一党となりましたが、選挙協力した公明党の28議席を合わせても過半数に及ばず、自民、公明合わせて過半数の目標は大きく下回りました。
敗因は政府のコロナウイルスへの対応と、開幕が間近に迫った東京五輪開催への忌避感だと新聞の社説に書いてありました。
SUPER SLOWとも言えるワクチン接種の遅れ、緊急事態宣言は延期や再発令を繰り返し、
支援金の遅れ、酒が飲めたり飲めなかったりの連続に多くの人が嫌気がさしています。
加えて、麻生財務相が過労の為に静養している小池都知事について「自分で蒔いた種でしょうが」発言。
病床でこの麻生発言を聞いた小池都知事はニヤリとしたのではないでしょうか?
以前、「排除」発言以来、マスコミから「緑のタヌキ」と叩かれた経験のある小池都知事です。
小池都知事は病床にある自分に対し“自業自得”発言は都民ファーストに有利な発言だと思ったはずです。

日本人の感情に「判官びいき」というのがあります。
弱い人を応援したいという感情です。
コロナと東京五輪の対応で過労の為に倒れた小池知事がかわいそうだとの感情です。

「純粋で清い、ひたむきへの憧れ、傲慢さや卑怯への嫌悪感」
というのが日本人の感情にあると思うのです。私達のビジネスでも
この感情を無視することは出来ません。

私の元部下で現在、T社の課長として注目されているT君がいます。
私が課長の時の三人の主力営業の一人です。
三人とも会社全体でもトップクラスの営業でした。

一人は要領が良くテキパキと事務処理をし、スピード感のある営業、
頭の回転も速く、私が叱ることは殆ど無い営業でしたが、唯一、社内の人間関係
が淡泊なのが気になっていました。

もう一人は要領は良いが誤魔化し癖のある営業。
企画提案には定評があり、勘は鋭いものがあるが、何故かつまらない嘘をついてしまう。
私は何度となく厳しく注意をしておりました。
しかし、特定のお客さんには、ごまかし癖も含めて可愛がられる不思議なキャラクターでした。

T君の場合、要領は決して良くないが、誠実な対応で定評のある営業で、卑怯や傲慢を嫌う正義感の強い営業でした。コツコツとした地道な営業で信頼を掴むタイプで
仕入先、得意先とも彼のファンは多く、私が羨むほどでした。

私が退社した後、三人とも課長を経験しましたが、二人は結果が残せず
関連会社に出向し、T君は優秀な課長としてT社で活躍しています。
部下も上司も得意先もT君の「純粋でひたむきな姿勢、上司であろうとも誤魔化しを
許さない正義感」に共感を覚え、協力を惜しまないのだといます。

その場しのぎの戦略や謀略は一時的に成功しても長続きしません。
やはり、「約束を守る、守れなかったら事前に連絡して詫び、次の約束をする」
そういう態度が大事です。
社内外とも信頼関係の構築が最重要ですが、その構築に妙手、奇手はありません。
毎日の目の前の仕事を誠心誠意やる。その積み重ねの向こうに信頼関係の構築があるのだと
思います。

「自公で過半数を実現出来なかった事は謙虚に受け止めたい」と首相は記者団に都議選の結果について語りました。
選挙が終わる度に「謙虚」を口にします。
「傲慢」な発言が信頼関係を崩壊させることを恐れるからだと思います。

口先だけでは誰も信用しません。行動がともなってこそ信用に繋がります。
信用されていると思い、謙虚さを忘れると嫌われることになります。

誠心誠意、約束を守り機敏に行動する。成功しても常に謙虚に、反省を忘れない。
政治家にとってもビジネスマンにとっても「信頼関係の構築」に大事な共通点だと思いました。

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雑感

停滞時にやるべきこと

停滞時とは「会社や営業なら業績不振、仕事がうまくいかない時」と考えたら良いでしょうか。
仕事を長年続けていたら必ずそういう時はあるはずです。
今のコロナ禍では得意先の多くがこの停滞時にあり、苦戦を強いられています。
そういう時、どのようにしたら、停滞から脱出できるのかを考えてみたいと思います。

1、 早急に次期の手を打つ

私も現役時代には数字が停滞する場面に度々遭遇しました。
今月の予算に到達しない、来月も苦しい、下期を挽回するために無理をして
仕入れを増やそうとすると売れ残りの在庫が増え、見切り損が増大、利益を圧迫する。
売り上げが減少するのに仕事が増え、目先のことで多忙を極める。
とても次期の準備をする時間が取れなくなり、次期の準備が疎かになり、負の連鎖が始まります。

そもそも、何故業績が停滞したのか、内的要因と外的要因と分けて考えて、停滞原因を整理します。
停滞原因が整理出来たら、次期に同じ轍を踏まぬよう、早急に対処すべきです。
現状の状態の悪さを立て直すのも大事ですが、
それに時間を取られ次期に悪影響を与えることは絶対に避けなければなりません。
現状の悪さは過去の準備や行動に問題があったからです。
極端に言えば一年前からの準備や行動が適切でなかったわけです。
今更、今の業績を立て直そうと思っても相当な困難が待ち受けているはずです。
大事なのは、次期に悪影響を与えないよう、負の連鎖を断ち切ることです。
そして停滞原因の分析をもとに次期業績への手を打つことが大事です。
悪い原因が分かっているのに放置すれば、いつまでも良くなるはずがありません。

私が今まで会社になかったカジュアルパンツの課を作り、10年ぐらいたった頃でしょうか、気が付いてみたら課の中にミセス、ヤング、キャリアと三つの類が出来ていました。
小さい課なのにターゲットがそれぞれ違うために、考え方もやることもそれぞれ違います。
課の中に課があるような状態で、その中で競争や諍いも発生し、あらゆるロスが発生し、業績に繋がらず、私は悩んでいました。

それで、ミセスもキャリアも止めてヤング一本に絞ろうと決心しました。
ミセスもキャリアもそれぞれに担当がいましたので反対もされました。部長からも、「止めたら売り上げが減るし、徐々にヤングに絞れば良いのではないか」とアドバイスがありましたが、それでは課員の心が一つになれない。
停滞の原因は課員の考え、行動がバラバラで組織のパワーが発揮できていないのが原因ですから、徐々に絞っていくのは解決にはならないと考えました。
たとえ、今の売上が減っても将来の為に早急にヤング一本に絞ろうと決心しました。

優秀なキャリアの担当者は「ヤング一本に絞るなら私は辞めます」と言いましたが、決心は揺らぎませんでした。
反対論者が課内外で大半でしたが、「私はこの判断で上手くいかなければ私が辞める」と覚悟が出来ていましたので
早急に、その方針を実行に移しました。そして、優秀なキャリアの担当は本当に辞めてしまいました。

残った課員は「課長は本気だ」と察したのだと思います。
私の方針を理解し、必死で働いてくれました。その結果、一年後、売り上げは減るどころか増えていたのです。
今の停滞に悩むより、停滞原因を明確にし、二度と停滞しないよう次期の手を確実に打っていくことが大事です。

2、 見直しのチャンス

好調時には一人で10億近く売るような営業は自信を持っていますので、基本動作に問題があっても課長のいう事を聞きません。しかし、売れなくなり、自分の営業力に不安を持ち出すと素直になれます。
停滞時には教育しやすい環境が整います。
再度、企画、生産、販売、デリバリーに至るまで基本を見直す良いチャンスだと思います。
個人としても会社としても、再度、個人、会社を見直してみる。
「品質の信頼による得意先獲得が出来ているか」
「企画力、生産管理は強化出来ているか」
「新規得意先開拓は出来ているか」
私達がいるファション業界は変化が日常化し、今までの成功体験が通用しなくなることもあります。
好調時には見えないものが、停滞時に見えだすこともあるはずです。

3、 元気を出して前向きに仕事をする

停滞時に気をつけたいことは元気がなくなることです。「停滞は程度の差はあっても必ずある。
停滞があるから成功への道標が見える。」そう考えて、希望を持って前向きに仕事をすべきです。
以前いた会社の名誉会長は「人の仕事は失敗と成功の連続である」と言っています。
失敗を停滞に置き換えると下記のようになります。

「人は停滞の反省から改革をして成功するが、それは何れ自己矛盾を起こして停滞に終わる。その停滞を手掛かりとして
又成功する。停滞せずして成功するとは本来嘘である。
停滞を改革するときは停滞の原因も成功への手段も分かっているのだから素早く反省し、停滞は停滞として処理し
新しい手を決断し実行することだ。そして停滞をカバーしてしまえば良いのだ。その時は後悔も失望もない
生き生きとして次の手を打つことだ。
陰気な追求と責任論は後回しにして、即刻、勇気凛々として次の手を打つことだ」

そして、違う会長メモで、こうとも言っています。

「受け身の考えは一掃しなさい、又運は向いてくる。一生懸命にやっていれば思わぬ好運が(これは必ずある確率を以て訪れる)向いてきたとき敏感に反応出来る。熱意がなければ好運も見逃してしまうし、今、現に見逃しているかもしれない。運もソフトウェアである。
なんといっても一番大きな価値観はその人に会い、その人と話をすることによって何か自信が出来、よしやろうという元気がでることである。上から下まで社員一人一人が説得力と迫力と魅力を持つことである、そういう販売員から買うのである。不況にも凄みが出てきた感じがあるから勝負は近い。
来年が正念場である。そこでも尚真剣になれない人がいたら上の人でも下の人でも会社から引き下がってもらって、やる気のある人だけでやるより仕方がない。」

反省をし、結論が出たら元気を出して早急に次の手を打つ。不安を持ったり、失望したりする暇はありません。

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雑感

注文を断る方法

注文を断りたいときはどんな時なのか?
得意様の要求が厳しくて注文を受けたら、契約を履行することが困難な時。
その場合、注文を無理して受けてしまうのか、あるいは断るのか、断るとすれば、どのような方法で断れば良いのでしょう?
品質や納期の保証が難しい時
受けると利益が出ない時と色々ケースはあると思いますが、今後も信頼関係が継続するように断ることが大事です。

これはT社のOBから聞いた、A商社営業から相談を受けたエピソードです。

A商社の営業がJ社から3WAYのコートが良く売れたから、
来期は15000枚発注したいからこの値段にしてくれと相談がありました。
指値は厳しく受けたら損なので、課長に相談したら、お前に任すと言われ、
益々、悩んでしまっているという事でした。
断るのか、受けるのか?
相談を受けたT社のOBはまず断って、この値段なら受けると交渉するべきだといったそうです。
結果は指値を上げてくれて、数量は3万枚の倍の注文が来たそうです。
その後、営業はベトナムのメーカーに交渉し仕入れ値は5%安くできました。
この営業の課長からの評価は上がったと思います。

得意先は品質のこともあるので、前回やったA社に発注することに決めていたと思います。
大量発注だから指値をしたが、まさか断わられるとは思わなかった。
断られて、この営業はしっかりしていると信用が高まったのだと思います。
他のメーカーとも商談し、上げた値段に納得し、自信を持って企画会議にかけた結果が倍の数量の注文に結びついたのではないでしょうか?

これは上手くいった例ではありますが、断ることが信用に結びつくのです。
考えてみたら、ペコペコして何でもしますという営業と聞いたことに対してしっかり答えてくれて、出来ないことは出来ないとハッキリ言う営業とどちらから買うでしょう?

T社でも何でも受けるタイプときっちり考えて受けるタイプといましたが
何でも受けるタイプはいつもバタバタしていて超多忙の割には結果がでず、
きっちり考えて受けるタイプは超多忙に見えないが結果を出します。
納期遅れや不良品、価格の問題を事前に手を打って注文を受ける営業に結果が出るのは当然です。

T社では売り手と買い手で、どちらが主導権を握るかが大事だという議論がされていました。
勿論、主導権を持った方が有利に商談を運べるからです。
先ほどの例では発注するJ社が圧倒的に主導権を持っていましたが、断られた時点で主導権はA商社の営業に移ったのです。
買い手と売り手はフィフティーフィフティーの関係です。
買ってもらわなければ、売り上げは上がりませんが、買い手としても売ってもらわねば売り上げは上がらないのです。
私だったら、何でもしますという営業より、出来ないことは出来ないとハッキリ言う営業を信用します。
断ることの効果は分かるが、どのように断れば良いか?
「出来ません」では主導権を持ったつもりでいる得意先は憤慨するかもしれません。
やはり、断り方があると思います。
「日頃から大変お世話になっているお客様から、せっかく私にお声をかけていただきましたのに」
と常日頃、1)相手への感謝をしている旨を伝えましょう。
それから、2)断る理由を説明します。
「生産するベトナムでは人件費が高騰、環境規制で素材も上がっています。検討に検討を重ねた結果、どうしても採算が取れません。本当に残念ですが……….等、申し訳ない気持ちを伝えます。
「これでなければ、うちは出来ません」と断るのは、言い放つ様で感じが悪いと思います。
相手の感情を害さないような配慮が必要です。「申し上げづらいのですが、これでお願いできないでしょうか」
「大変心苦しいのですが、これでお願いしたいのですが」「恐縮ですが………」など、断りづらいけど断らざるを得ないという
自分自身の感情を表現することです。

そして3)代案を提案します。

素材を代える、デザインの変更、納期や価格の変更などと現実的な提案をすることが大事だと思います。
出来ない、できないではなく、こうやれば出来る代案が大事です。

断ることで次の商売に発展する。
断ることで信頼を得る。
断ることで主導権を取る。

断ることは相手の要望を否定することですから、言葉を間違うと、信頼を失うことになりかねません。
得意先の依頼に対して誠心誠意考えた結論であることが大事です。

Mという岐阜の小売屋の優秀な店長の話です。
「常連客の好みは全部把握している。しかし、客の好みで買うと分かっていても
似合わないと思ったらはっきりいう事も大事だ。そのことによって、この店は私のことを本気で考えてくれていると感じてくれる。先日もお客さんが、買おうとした商品を買わなくて良いと言った。
家に帰ってタンスを見てください、同じような商品がたくさんありますよ、と。
お客さんは私よりも私のことが分かっているのねと、感心しておられました。」
この店は何でも売りつける店ではない。本当に私の似合う服を一緒になって考えてくれると、思っていただく事が大事だということです。
誠心誠意断ることが信用に繋がります。

「断り」が営業の感情や自社の利益のみを考えて断っているのではなく「お互いの為に断っている」
と相手に納得してもらう事が必要です。

良く売れたから追加がきたが、納品は一か月後、無理な納期だが、確かに一か月後でないと売れ残ることが予測出来ます。
納期遅れすれば得意先が不良在庫の山になります。お互いの為に断るのが賢明です。

得意先からすれば、「売れることが分かっているのに、何故できないのだ!頼りにならない仕入先だ」となりがちですが、
普段の信頼関係が構築されていれば「一か月後に上がれば売れることは分っているが、あの営業が言うのだから生産現場は相当タイト
なんだろう。納期遅れすれば在庫の山になるし、次に発注するときは、初回発注をもう少し多く発注しよう」となるかもしれません。

断るという否定的な行為も「平素の信頼関係」があれば一層の信頼関係の構築に繋がります。