停滞時とは「会社や営業なら業績不振、仕事がうまくいかない時」と考えたら良いでしょうか。
仕事を長年続けていたら必ずそういう時はあるはずです。
今のコロナ禍では得意先の多くがこの停滞時にあり、苦戦を強いられています。
そういう時、どのようにしたら、停滞から脱出できるのかを考えてみたいと思います。
1、 早急に次期の手を打つ
私も現役時代には数字が停滞する場面に度々遭遇しました。
今月の予算に到達しない、来月も苦しい、下期を挽回するために無理をして
仕入れを増やそうとすると売れ残りの在庫が増え、見切り損が増大、利益を圧迫する。
売り上げが減少するのに仕事が増え、目先のことで多忙を極める。
とても次期の準備をする時間が取れなくなり、次期の準備が疎かになり、負の連鎖が始まります。
そもそも、何故業績が停滞したのか、内的要因と外的要因と分けて考えて、停滞原因を整理します。
停滞原因が整理出来たら、次期に同じ轍を踏まぬよう、早急に対処すべきです。
現状の状態の悪さを立て直すのも大事ですが、
それに時間を取られ次期に悪影響を与えることは絶対に避けなければなりません。
現状の悪さは過去の準備や行動に問題があったからです。
極端に言えば一年前からの準備や行動が適切でなかったわけです。
今更、今の業績を立て直そうと思っても相当な困難が待ち受けているはずです。
大事なのは、次期に悪影響を与えないよう、負の連鎖を断ち切ることです。
そして停滞原因の分析をもとに次期業績への手を打つことが大事です。
悪い原因が分かっているのに放置すれば、いつまでも良くなるはずがありません。
私が今まで会社になかったカジュアルパンツの課を作り、10年ぐらいたった頃でしょうか、気が付いてみたら課の中にミセス、ヤング、キャリアと三つの類が出来ていました。
小さい課なのにターゲットがそれぞれ違うために、考え方もやることもそれぞれ違います。
課の中に課があるような状態で、その中で競争や諍いも発生し、あらゆるロスが発生し、業績に繋がらず、私は悩んでいました。
それで、ミセスもキャリアも止めてヤング一本に絞ろうと決心しました。
ミセスもキャリアもそれぞれに担当がいましたので反対もされました。部長からも、「止めたら売り上げが減るし、徐々にヤングに絞れば良いのではないか」とアドバイスがありましたが、それでは課員の心が一つになれない。
停滞の原因は課員の考え、行動がバラバラで組織のパワーが発揮できていないのが原因ですから、徐々に絞っていくのは解決にはならないと考えました。
たとえ、今の売上が減っても将来の為に早急にヤング一本に絞ろうと決心しました。
優秀なキャリアの担当者は「ヤング一本に絞るなら私は辞めます」と言いましたが、決心は揺らぎませんでした。
反対論者が課内外で大半でしたが、「私はこの判断で上手くいかなければ私が辞める」と覚悟が出来ていましたので
早急に、その方針を実行に移しました。そして、優秀なキャリアの担当は本当に辞めてしまいました。
残った課員は「課長は本気だ」と察したのだと思います。
私の方針を理解し、必死で働いてくれました。その結果、一年後、売り上げは減るどころか増えていたのです。
今の停滞に悩むより、停滞原因を明確にし、二度と停滞しないよう次期の手を確実に打っていくことが大事です。
2、 見直しのチャンス
好調時には一人で10億近く売るような営業は自信を持っていますので、基本動作に問題があっても課長のいう事を聞きません。しかし、売れなくなり、自分の営業力に不安を持ち出すと素直になれます。
停滞時には教育しやすい環境が整います。
再度、企画、生産、販売、デリバリーに至るまで基本を見直す良いチャンスだと思います。
個人としても会社としても、再度、個人、会社を見直してみる。
「品質の信頼による得意先獲得が出来ているか」
「企画力、生産管理は強化出来ているか」
「新規得意先開拓は出来ているか」
私達がいるファション業界は変化が日常化し、今までの成功体験が通用しなくなることもあります。
好調時には見えないものが、停滞時に見えだすこともあるはずです。
3、 元気を出して前向きに仕事をする
停滞時に気をつけたいことは元気がなくなることです。「停滞は程度の差はあっても必ずある。
停滞があるから成功への道標が見える。」そう考えて、希望を持って前向きに仕事をすべきです。
以前いた会社の名誉会長は「人の仕事は失敗と成功の連続である」と言っています。
失敗を停滞に置き換えると下記のようになります。
「人は停滞の反省から改革をして成功するが、それは何れ自己矛盾を起こして停滞に終わる。その停滞を手掛かりとして
又成功する。停滞せずして成功するとは本来嘘である。
停滞を改革するときは停滞の原因も成功への手段も分かっているのだから素早く反省し、停滞は停滞として処理し
新しい手を決断し実行することだ。そして停滞をカバーしてしまえば良いのだ。その時は後悔も失望もない
生き生きとして次の手を打つことだ。
陰気な追求と責任論は後回しにして、即刻、勇気凛々として次の手を打つことだ」
そして、違う会長メモで、こうとも言っています。
「受け身の考えは一掃しなさい、又運は向いてくる。一生懸命にやっていれば思わぬ好運が(これは必ずある確率を以て訪れる)向いてきたとき敏感に反応出来る。熱意がなければ好運も見逃してしまうし、今、現に見逃しているかもしれない。運もソフトウェアである。
なんといっても一番大きな価値観はその人に会い、その人と話をすることによって何か自信が出来、よしやろうという元気がでることである。上から下まで社員一人一人が説得力と迫力と魅力を持つことである、そういう販売員から買うのである。不況にも凄みが出てきた感じがあるから勝負は近い。
来年が正念場である。そこでも尚真剣になれない人がいたら上の人でも下の人でも会社から引き下がってもらって、やる気のある人だけでやるより仕方がない。」
反省をし、結論が出たら元気を出して早急に次の手を打つ。不安を持ったり、失望したりする暇はありません。