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注文を断る方法

注文を断りたいときはどんな時なのか?
得意様の要求が厳しくて注文を受けたら、契約を履行することが困難な時。
その場合、注文を無理して受けてしまうのか、あるいは断るのか、断るとすれば、どのような方法で断れば良いのでしょう?
品質や納期の保証が難しい時
受けると利益が出ない時と色々ケースはあると思いますが、今後も信頼関係が継続するように断ることが大事です。

これはT社のOBから聞いた、A商社営業から相談を受けたエピソードです。

A商社の営業がJ社から3WAYのコートが良く売れたから、
来期は15000枚発注したいからこの値段にしてくれと相談がありました。
指値は厳しく受けたら損なので、課長に相談したら、お前に任すと言われ、
益々、悩んでしまっているという事でした。
断るのか、受けるのか?
相談を受けたT社のOBはまず断って、この値段なら受けると交渉するべきだといったそうです。
結果は指値を上げてくれて、数量は3万枚の倍の注文が来たそうです。
その後、営業はベトナムのメーカーに交渉し仕入れ値は5%安くできました。
この営業の課長からの評価は上がったと思います。

得意先は品質のこともあるので、前回やったA社に発注することに決めていたと思います。
大量発注だから指値をしたが、まさか断わられるとは思わなかった。
断られて、この営業はしっかりしていると信用が高まったのだと思います。
他のメーカーとも商談し、上げた値段に納得し、自信を持って企画会議にかけた結果が倍の数量の注文に結びついたのではないでしょうか?

これは上手くいった例ではありますが、断ることが信用に結びつくのです。
考えてみたら、ペコペコして何でもしますという営業と聞いたことに対してしっかり答えてくれて、出来ないことは出来ないとハッキリ言う営業とどちらから買うでしょう?

T社でも何でも受けるタイプときっちり考えて受けるタイプといましたが
何でも受けるタイプはいつもバタバタしていて超多忙の割には結果がでず、
きっちり考えて受けるタイプは超多忙に見えないが結果を出します。
納期遅れや不良品、価格の問題を事前に手を打って注文を受ける営業に結果が出るのは当然です。

T社では売り手と買い手で、どちらが主導権を握るかが大事だという議論がされていました。
勿論、主導権を持った方が有利に商談を運べるからです。
先ほどの例では発注するJ社が圧倒的に主導権を持っていましたが、断られた時点で主導権はA商社の営業に移ったのです。
買い手と売り手はフィフティーフィフティーの関係です。
買ってもらわなければ、売り上げは上がりませんが、買い手としても売ってもらわねば売り上げは上がらないのです。
私だったら、何でもしますという営業より、出来ないことは出来ないとハッキリ言う営業を信用します。
断ることの効果は分かるが、どのように断れば良いか?
「出来ません」では主導権を持ったつもりでいる得意先は憤慨するかもしれません。
やはり、断り方があると思います。
「日頃から大変お世話になっているお客様から、せっかく私にお声をかけていただきましたのに」
と常日頃、1)相手への感謝をしている旨を伝えましょう。
それから、2)断る理由を説明します。
「生産するベトナムでは人件費が高騰、環境規制で素材も上がっています。検討に検討を重ねた結果、どうしても採算が取れません。本当に残念ですが……….等、申し訳ない気持ちを伝えます。
「これでなければ、うちは出来ません」と断るのは、言い放つ様で感じが悪いと思います。
相手の感情を害さないような配慮が必要です。「申し上げづらいのですが、これでお願いできないでしょうか」
「大変心苦しいのですが、これでお願いしたいのですが」「恐縮ですが………」など、断りづらいけど断らざるを得ないという
自分自身の感情を表現することです。

そして3)代案を提案します。

素材を代える、デザインの変更、納期や価格の変更などと現実的な提案をすることが大事だと思います。
出来ない、できないではなく、こうやれば出来る代案が大事です。

断ることで次の商売に発展する。
断ることで信頼を得る。
断ることで主導権を取る。

断ることは相手の要望を否定することですから、言葉を間違うと、信頼を失うことになりかねません。
得意先の依頼に対して誠心誠意考えた結論であることが大事です。

Mという岐阜の小売屋の優秀な店長の話です。
「常連客の好みは全部把握している。しかし、客の好みで買うと分かっていても
似合わないと思ったらはっきりいう事も大事だ。そのことによって、この店は私のことを本気で考えてくれていると感じてくれる。先日もお客さんが、買おうとした商品を買わなくて良いと言った。
家に帰ってタンスを見てください、同じような商品がたくさんありますよ、と。
お客さんは私よりも私のことが分かっているのねと、感心しておられました。」
この店は何でも売りつける店ではない。本当に私の似合う服を一緒になって考えてくれると、思っていただく事が大事だということです。
誠心誠意断ることが信用に繋がります。

「断り」が営業の感情や自社の利益のみを考えて断っているのではなく「お互いの為に断っている」
と相手に納得してもらう事が必要です。

良く売れたから追加がきたが、納品は一か月後、無理な納期だが、確かに一か月後でないと売れ残ることが予測出来ます。
納期遅れすれば得意先が不良在庫の山になります。お互いの為に断るのが賢明です。

得意先からすれば、「売れることが分かっているのに、何故できないのだ!頼りにならない仕入先だ」となりがちですが、
普段の信頼関係が構築されていれば「一か月後に上がれば売れることは分っているが、あの営業が言うのだから生産現場は相当タイト
なんだろう。納期遅れすれば在庫の山になるし、次に発注するときは、初回発注をもう少し多く発注しよう」となるかもしれません。

断るという否定的な行為も「平素の信頼関係」があれば一層の信頼関係の構築に繋がります。

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気分転換

サラリーマンだけでなく経営者も含め、仕事をするものにとって、絶対必要条件は健康だと思います。
「健康な精神は健康な身体に宿る」と言いますが、その通りで、体調が悪いのに良い考えは浮かびませんし、厳しい仕事をするには無理があります。いつも体調不良では、とても困難を乗り越えることは出来ません。そして身体だけでなく心も健康、心身ともに健康であることが大事です。
コロナのせいで、外に出歩くのが少なくなった今こそ、今一度、健康を維持しながら仕事を楽しむ方法を考えてみたらどうでしょうか?
背戸土井社長も健康の大事さを良く理解しておられるからこそ、スポーツジムなどの支援金を出されているのだと思います。
今日は心の健康に焦点を当てて考えてみたいと思います。

真面目なサラリーマンにとって、厄介なのがストレスです。以前、NHKスペシャル「キラーストレス」という番組がありました。ストレスが人の体に「ストレス反応の暴走」を引き起こし、脳細胞や血管を破壊して、人を死に追い込むという話で、ストレス対策として気持ちをコントロールする方法を紹介していました。

私もサラリーマン時代、ストレスで命を落としそうになったことがあります。
それは平成17年7月、夏の暑い日でした。
休みの日に大量の仕事を持ち帰り、深夜まで仕事をした明けの月曜日、朝早くから朝会があった日、通勤電車の中でひどい目眩で倒れ、救急車で運ばれたことがありました。救急車の中で測った血圧は異常な数値でしたので大変なことになると覚悟していました。
しかし、結果は不幸中の幸いで、3日後には退院できたのですが、一つ間違えば危ないことになっていました。
原因は高血圧を放置しているところに強いストレスがかかり、血圧の急上昇に繋がり、急性の脳梗塞も発症したのかもしれないということでした。血圧の管理も大事ですが、ストレスの処理も大事だということです。
強い外部ストレスが、病気を誘発するのでしょうが、現代人がストレスを避けるのは不可能だと思います。適度なストレスがなければ身体機能は退化するでしょうし、極度なストレスは身体機能を麻痺させます。やはり、ストレスと上手に付き合うことが必要だと思います。
しかし、どうやってストレスと上手く付き合うのでしょう?

それは気持ちの切り替え(気分転換)を上手くやるということではないでしょうか?
私も小さな事をくよくよと悩んだりしますが、結論の出ない悩み程、生産性の無いものはありません。それが失敗の悩みにくよくよしているのであれば、成功への道筋にエネルギーを使うべきです。

休みには趣味に打ち込んで気持ちの切り替えるのも有効な手段だと思います。
私はコロナ前までは社交ダンスの競技会に年間を通じて出場していました。競技会では仕事のことを考えていては出来ませんので、競技に集中します。仕事以外の事に集中することが気持ちの切り替えになります。

とても、そんな趣味に使う時間がないという方もいらっしゃると思いますが、多忙だからこそ気分転換が必要で、わざわざ時間を作る必要があるのだと思います。日本電産、ソフトバンク、ファーストリティリングの各社長はプライベイトジェットで仕事をする超多忙の方々ですがゴルフをする時間はちゃんと作っておられるようです。
仕事の効率を上げる為には気持ちの切り替えをする必要があるわけで、仕事から逃避するものではありません。

例えば、仕事が終わってからの適度の酒は明日への活力につながるかもしれませんが、仕事を忘れるための、或いは逃避するための過度な飲酒は明日の仕事に悪影響を及ぼします。明日への活力どころか明日への負の連鎖を生みかねません。気分転換は仕事の偏りやマンネリ化を避ける為にリセットが必要だという事で、仕事から逃げ出すことではありません。
心身共に健康な状態を作る為に気分転換が大事だということですね。

私は笑うことが気分転換にもなるし、健康に良いと思います。
以前、医者から落語家に転身した人の落語を聞いたことがあります。
その落語家が言うには、若くて健康な人の体にも1日3000~5000個ものがん細胞が発生しており、これを退治するのがナチュラルキラー(NK)細胞だそうです。人間の体内にはNK細胞が50億個もあり、その働きが活発だとがんや感染症にかかりにくくなると言われているそうです。私たちが笑うと、NK細胞を活性化するのだそうです。その結果、がん細胞やウイルスなどの病気のもとを次々と攻撃するので、免疫力が高まるというわけです。つまり大いに笑えば、がんやウイルスに対する抵抗力が高まり、同時に免疫異常の改善にも繋がるのだそうです。腹の底から笑うのが良いのでしょうが、作り笑いでも脳が笑ったと認識し、NK細胞は活性化するそうです。仕事中にニヤニヤ笑うと気持ち悪がられますから、トイレで作り笑いしても良いかもしれません。
ネットで調べた「気持ちの切り替え方」です。
<仕事中の気持ちの切り替え方>

1) ストレッチをする
2) 瞑想をして深呼吸をする
3) 立ち上がり、その場を一旦離れる
4) デスクの上を片付ける

<家での気持ちの切り替え方>

1) 一人でドライブをする
2) ぬるめの温度でゆっくり入浴
3) 旅行
4) 感動系の映画を見て思いっきり泣いたり、笑ったりする

人それぞれに気分転換の方法は違うと思います。
皆さんも自分流の気持ちの切り替え方を紹介していただけませんか?

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仕事を好きになる

私たちは一日の多くの時間を仕事に費やします。土曜、日曜休むとしても、人生の大半を仕事に費やさねばなりません。仕事は仕事として割り切って、私は趣味に人生の価値を見出すのだという人もいると思います。しかし、多くの時間を費やす仕事が面白いと感じるのと嫌いだと思いながら仕事をするのでは人生を充実させるのに大きな差が出るのは間違いありません。

私は若い時、仕事が嫌いでした。何故嫌いだったこというと「やらされている」という気持ちで仕事をしていたからだと思います。私が初めて営業に就いたのは寝具課でした。それから九州地方販売員を経てボトムの課に配属され、その後カットソーの課に転属されました。ボトム課からカットソーの課に配属される時に、その時の課長から「今の営業ぶりではどの課に行ってもダメだぞ。」と言われ、自分でもその通りだと納得するほどの「ダメ営業」でした。

課員としては最後になる課のカットソーの課長は想像を絶するほど厳しい課長で、絶対服従と言う感じでしたので、私の「やらされ」感は益々大きくなり、毎日、いつ辞めようかと考えていました。
しかし、その課長は部下に厳しいところはあるが、商売のセンスがあり、製品部ではトップの成績を収めていました。売れる企画を探し出し、決めると大量発注し、徹底したコスト追求をし、売値を決めて一斉に大量販売します。一連の業務に妥協はありませんでした。

売れる企画と儲けることに対し貪欲な課長を納得させるには、売れる企画を作り、儲けて見せれば任してくれるはずだと思った私は、今の課がやっていない新しいことをやろうと思いました。
先ずは在庫になっている生地を利用し、カットソーの工場で布帛のジョギングスーツを企画したところまずまずの売れ行きでした。次は人気だったパイルニットの素材でジャットやTシャツ、ランニング、ジョギングショート、などトータル企画を提案し、それまで同課の得意先ではないボトムの会社やナイティーの会社への売り込みに成功しました。

自分で考え自分で企画し、自分で生産し、自分が考えた得意先に売ることが本当に楽しくなりました。そのうち課ではやっていない布帛のパンツをやろうと決心します。課長に進言すると快諾してくれました。

その頃、カジュアルパンツはブームになっており、タキヒョーが一世を風靡していました。私はタキヒヨーを研究し、タキヒヨーがメインの生産地としていた福山の新市地区を回り、頭を下げ、取引をさせてほしいとお願いして回りました。今から考えるとちょうどそのころはサブリナパンツ、ブロークンジーンズ、ブリーチジーンズ、ストレッチパンツとカンジュアルパンツがミセスにブームになった頃だったのです。

仕事は以前とは比較にならないくらい忙しくなりましたが、楽しいので忙しさは全く苦痛ではありませんでした。毎日、辞めようと考えていた私は自分自ら物づくりをしようとした日から仕事が面白くてしかたがない人間に変身してしまったのです。そしてそれから数年後、ケミカルジーンズの一大ブームに乗り59課という課を作るに至りました。

仕事が嫌いだった頃の私は自ら行動することもせずに、勝手に「やらされている」と思い込み、会社の不満や上司の愚痴ばかり言うような人間でした。
仕事が上手くいかないのを上司のせいや得意先のせい環境のせいにし、自分と真正面に向き合う勇気がなかったのです。その時の自分を否定するのが怖かっただけなのです。

自らの工夫で仕事を楽しくする、自ら研究して仕事が上手くいくよう努力する、常に前向きな姿勢を心掛ける。そうやって少しずつ成果が出るようになると仕事が楽しくなる。
楽しくなると困難と思える仕事でも乗り越えられる。面白くなさそうな仕事でも本気でやってみなければ本当のところは分かりません。本気でやってみて、どうしても好きになれなかったら諦めもつきますし、自分が本当に好きなことも見つかるのではないかと思います。

これは京セラ会長で日本航空を再建した稲盛和夫の「働き方」という本から抜粋した言葉です。

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仕事に惚れる。
仕事を好きになる。
だからこそ、私は長い間、厳しい仕事を続けることができたのです。
人間は、好きな仕事ならば、どんな苦労も厭いません。そして、どんな苦労も厭わず、努力を続けることが出来れば、たいていのことは成功するはずです。つまり、自分の仕事を好きになること——-この一言で人生は決まってしまうと言って過言ではありません。

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